久保建英の「電光石火の動きは少しも失われていない」 レアル・ソシエダ番記者が指摘する今後の改善策 (3ページ目)

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

【中盤ダイヤモンドの4-4-2復活はあるか】

 現実問題として、今シーズンのラ・レアルのスタートは最悪だった。レアル・マドリード戦を除き、ホームゲームの内容には深刻な懸念があった。メンバーは夏に大きな変化を遂げ、ふたりのスター選手が去り、未知数の選手が多数加入した。序盤はすべて、ラ・レアルの伝統的な4-3-3で臨んだが、チームはまったく機能しなかった。

 そこでイマノルは一計を案じて、レアル・マドリード戦ではほかの試合と異なる4-4-2の3ラインによるハイプレスを用いた守備を採用した。これまでは特定の瞬間にプレスをかけていたが、この試合では前線から絶え間なくプレスをかけ続け、一定の成果を出すことに成功した。

 しかし、今季のラ・レアルは依然として中盤に大きな問題を抱えている。これまで3人で構成し、ひとりはより深い位置で構え、時にもうひとりが守備的にプレーすることはあったものの、インサイドハーフのふたりはより自由に動いた。しかし、これも唯一無二の存在であるミケル・メリーノ(アーセナル)の退団で不可能となった。

 ベニャト・トゥリエンテスにミケル・メリーノのようなプレーはできず、スチッチも特徴が違う。セルヒオ・ゴメスのプレースタイルはそれと大きくかけ離れ、ブライス・メンデスとアルセン・ザハリャンはそれ以上に異なるタイプの選手だ。

 ミケル・メリーノは広範囲をカバーし、あらゆる場所でデュエルを制し、誰よりもディフェンスし、正確にボールを動かし、すばらしいフィニッシャーでもあった。これらすべてを失ったことでイマノルは、物事を根本から考え直さなければならなかった。

 早急にチームを復調させるため、おそらく彼の頭をよぎっている選択肢のひとつは、ミケル・オヤルサバルの大ケガ後(2022年3月)、ダビド・シルバ(2023年に引退)のあらゆる長所を生かすために採用し、結果ラ・レアルを飛躍させた中盤ダイヤモンドの4-4-2のシステムをもう一度復活させるという案だ。

 当時、イマノルは久保をFWに起用してアレクサンデル・セルロート(現アトレティコ・マドリード)と並べ、シルバをトップ下、ブライス・メンデスとミケル・メリーノをインサイドハーフに配置した。このシステム変更が功を奏し、ラ・レアルは快進撃を続け、ノンストップで勝利を収めた。しかし、相手に対策され、サイドに幅や奥深さが足りなかったことなどから、現在の4-3-3に戻している。

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