佐野海舟「サッカーができることに感謝して」 ドイツでは守備だけでなくゴールも奪える選手になる (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【Jリーグとブンデスリーガとの違いは...】

 このウニオン・ベルリン戦で佐野は、3-4-2-1システムのボランチで出場。10分には縦パスに抜け出してペナルティエリア内から右足シュートも放ったが、それは相手ディフェンダーに防がれた。シュートはこの1本にとどまったが、モチベーションは高く、豊富な運動量でピッチを動き回った。

 だが、プレー内容はいかんせん空まわり。なかなかボールに絡めず、取りにいっても奪いきれず。特に前半はブンデスリーガの厳しさを感じたに違いない。本人はこう振り返る。

「今まで感じたことのないプレッシャーだったり、相手の強度だったりをすごく感じました。でも、これにいち早く慣れないといけないと思います。試合に出ている以上、すぐに慣れてやるしかないと」

 互いに中盤で潰し合うようなサッカーで、徹底して相手のよさを消しあうなか、いかに自身の存在感を発揮するか、開幕戦では苦戦したようだった。

 後半に入り、53分にナディーム・アミリのフリーキックが直接決まってマインツが先制した。佐野も前半に比べれば、ボールに絡む回数も増え出した。

 しかし、74分に失点。ウニオンは左サイドのロビン・ゴセンスからのパスをティム・スカルケがボックス手前左で受け、それを中央で待つラースロー・ベーネスへ。ベーネスはターンして体勢を整えると、防ごうと戻ってきた佐野をモノともせずシュート。これがゴール右隅に突き刺さって同点となった。

 至近距離でシュートを打たれてしまった佐野は、しばらくの間ピッチに倒れこみ、立ち上がることができなかった。

「あれは防がないといけないと思います。戻りながらという難しい場面ではありましたけど、防がないといけない」

 Jリーグとの違いを感じた場面だったのでは?

 そう質問すると、「Jリーグではあまり感じられない場面だったと思いますけど、ここでやっている以上、そういうことは言っても仕方ない。あそこを止めるか、止められないか、ということだけだと思います」と、違いを言い訳にはしなかった。

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