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プレミアリーグ最注目選手はチェルシーのコール・パーマー 驚異的な得点関与数の要因は?

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

西部謙司が考察 サッカースターのセオリー 
第11回 コール・パーマー

日々進化する現代サッカーの厳しさのなかで、トップクラスの選手たちはどのように生き抜いているのか。サッカー戦術、プレー分析の第一人者、ライターの西部謙司氏が考察します。今回は、昨シーズンチェルシーで大活躍。今シーズンも注目のコール・パーマーの特長を解説します。

【昨季33試合で33ゴールを生み出す】

 2023-24シーズン、チェルシーにおけるコール・パーマー(2002年5月6日生まれ)のスタッツが傑出していた。

ゴールにアシストに大活躍するパーマーに注目 photo by Getty Imagesゴールにアシストに大活躍するパーマーに注目 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る マンチェスター・シティから移籍してプレミアリーグ33試合に出場、22得点11アシスト。同世代のジュード・ベリンガム(2003年6月29日生まれ)もラ・リーガ28試合出場19得点6アシストとレアル・マドリードで活躍したが、得点関与数ではパーマーのスタッツには及ばない。プレミアリーグでも得点関与数は最多だった。

 レアル・マドリードはラ・リーガとチャンピオンズリーグ優勝。当時20歳のベリンガムはその原動力だった。一方、チェルシーはプレミアリーグ6位。22歳になったパーマーはチームの得点のうち約43%を生み出しているが、チェルシーはひとりのアタッカーに頼りきりの状態だったともいえる。

 昨シーズン、パーマーが欠場した試合で、マウリシオ・ポチェッティーノ監督(当時)は「FCパーマーではなくチェルシーであることを示したい」と意気込んでいたが、敗戦後には「すべてのラインをつなげる選手はパーマーだけだ」とその不在を嘆き、むしろ「FCパーマー」であるという印象を世間に与えてしまっていている。

 2002年5月6日生まれ。マンチェスター・ユナイテッドのファンだったそうだが、8歳からマンチェスター・シティの下部組織でプレー。2020年にシティでプロデビュー。しかし、約3シーズンでのリーグ戦出場は19試合にとどまっていた。2023年9月にチェルシーへ移籍すると、昨シーズンはクラブの年間最優秀選手に選出される大活躍。リーグの最優秀若手選手賞も受賞した。

 189㎝の長身。細身で手足が長い。ポジションは右のサイドハーフ、左利き。巧みなボールコントロールとドリブルの突破力に優れ、正確なシュート、パスで前記のとおり抜群の得点関与数を叩き出した。

 リーチを活かした懐の深いボールの持ち方、深い切り返し、カットインも縦にも行けるドリブルもさることながら、パーマーの武器は正確なキックだ。結局のところ、最後に結果を出すのはキックであり、それが優れているために1試合に1ゴールを生み出す驚異的なスタッツになっているわけだ。

 昨季の22得点はアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)の27得点に次ぐリーグ2位だったが、そのうち9得点はPKによるものだった。ただし、PK成功率は100%。左右どちらにも決めていて、GKのタイミングを外した中央へのループシュートもある。さらに、これまで14本のPKを蹴っているがすべて決めている。「コールド・パーマー」と呼ばれる冷静さ、何よりキックの精度が抜群なのだ。

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著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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