ユーロ2024準決勝4強が抱える強みと弱み 優勝候補筆頭スペインに死角はない? (4ページ目)
トリッピアーは後方待機型で、フォーデンは左にいたたまれず、真ん中にポジションを移動する癖がある。両者のコンビネーションはかなり悪い。オランダも右ウイングに最適解が見つかっていない。右のサイド攻撃はSBダンフリースの攻撃参加に頼りがちで、安定性に欠ける。お互い左右のバランスが悪いのだ。
イングランドは先のスイス戦で相手の5バックに対抗して3バック的な変則4バックで戦い、フォーデンのポジションもそれにともなって内寄りになった。終盤、故障で休んでいた本来は左SBのルーク・ショウ(マンチェスター・ユナイテッド)が左のCBで登場。オランダ戦は左SBとして出場する可能性もあるが、それでもフォーデンの問題は残るだろう。
両サイドで抜けが悪い現象に陥るとサッカーは活性化しない。真ん中攻めに偏ると非効率を招く。そうした視点に立つと、4チームのなかではスペイン、さらにはフランスの優位性が高くなる。サイドを制すものは試合を制す展開になると、筆者は見ている。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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