ユーロ2024準決勝4強が抱える強みと弱み 優勝候補筆頭スペインに死角はない? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【スペインに弱みがあるとすれば...】

 フランスの決定的な問題は得点力不足だ。5試合で奪った得点わずかに3。失点も1と少ないので、堅守を称えることもできるが、ゴールへのルートが不鮮明な、非攻撃的で娯楽性の低いサッカーを展開していることは確かである。これまで使った選手も18人で、25人のスペインと比べて7人も少ないことも、見劣りする。よく言えば少数精鋭となるが、使える選手の絶対数が不足した状態にあると言ったほうがいい。

 延長PK戦で勝利したポルトガル戦も、峠を過ぎたクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)を引っ張りすぎた、相手の敵失に救われたと言うべきだろう。直近のW杯2大会で連続して決勝に進出している"顔"で、なんとかここまで勝ち上がってきた印象だ。

 しかし、このフランスを相手に、国際大会3連覇した実績を持つスペインがビビることはないだろう。

 スペインに弱みがあるとすれば、センターバック(CB)のロビン・ル・ノルマン(レアル・ソシエダ)と右サイドバック(SB)のダニエル・カルバハル(レアル・マドリード)のふたりが出場停止になることだ。フランスの左ウイング、キリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン→レアル・マドリード)と対峙することになる代役候補が38歳のヘスス・ナバス(セビージャ)だとすれば、不安を覚えずにはいられない。

 もっとも、スペインの右ウイング、ヤマルが活躍すれば、一方のフランスの左SBテオ・エルナンデス(ミラン)は、低い位置に留まらざるを得なくなる。エムバペをサポートする余力は失われる。

 同じ理屈は逆サイドの関係にもあてはまる。

 スペインの左サイド=ニコ・ウイリアムズ、ククレジャと、フランスの右サイド=ジュール・クンデ(右SB/バルセロナ)とウスマン・デンベレ(右ウイング/パリ・サンジェルマン)だ。この両翼における2対2の関係になにより目を凝らしたい。この優劣が勝利の分かれ目になるだろう。

 翌日のオランダ対イングランドだが、ブックメーカー各社の予想では、スペイン対フランスより接戦度が低いと読まれている。つまり、イングランドに楽観的な予想を立てている。

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