ユーロ2024で注目を集める「U-21」の次世代スター5人 大会後に主役の座に立つのは誰だ (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【ティーンエイジャーが主軸になる時代】

 そして今大会、最大の注目選手はなんといっても2007年7月生まれのラミン・ヤマルだろう。昨季のバルセロナで衝撃を与えたスペイン代表の16歳だ。

 21時開始の試合は未成年保護法に抵触するのではないかとか、ユーロ期間中は学校の宿題をしているとか、ユーロ入りする前に中学を卒業する試験に合格したとか、メディアはこぞって"神童"を追いかけまわし、子ども扱いしたような話題が尽きない。

 同時に、ユーロに出場している選手たちも気になっているようだ。21歳のムシアラは「16歳なんてクレイジー。僕が16歳の時は、プロと一緒にトレーニングする身体になっていなかった。なのに、彼は安定してハイレベルでプレーしている。すごいことだよ」と感心しきり。

 ヤマルは左利きの右ウインガーで、スピードドリブラーというタイプ。快速と柔らかいタッチが武器で、するするとゴール前に侵入していく。ちなみにヤマルはパリ五輪に出場できる年齢だが、五輪メンバーからは外れている。

 最後に取り上げるのは、トルコ代表のケナン・ユルディズ。2005年5月生まれの19歳だ。彼はドイツのバイエルン州で生まれ、7歳からバイエルンの下部組織で育ってきた。

 だが、2022年夏にバイエルンU19からユベントスU19に移籍すると、昨年11月には早くもトップチームに昇格。プロとしてのキャリアをスタートさせた1カ月後には、クラブの歴代最年少得点記録を作っている。

 ユルディズはトルコとドイツの二重国籍ながら、一貫して世代別カテゴリー時代からトルコ代表を選択してきた。ドイツ代表にはイルカイ・ギュンドアンをはじめ多くのトルコ系選手がいるが、その事情はさまざまである。

 テクニックが高いフォワードで、中央で待つターゲットというより、動き出しに優れたタイプ。今大会では研ぎ澄まされた感性で、ゴールを期待したい。

 ユーロ2024は例年以上に若手のインパクトが強い印象だ。いつかこの大会を振り返る時、若手が活躍した大会として思い出されることになるのではないだろうか。

プロフィール

  • 了戒美子

    了戒美子 (りょうかい・よしこ)

    1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。

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