ユーロ2024ポルトガル対フランス ロナウド頼み、エムバペ依存は通用するのか
ベルギーに辛勝したフランスと、スロベニアを延長PK戦で下したポルトガル。決勝トーナメント1回戦の戦いぶりはどちらもよくなかった。しかし、両チームとも優勝を狙う潜在能力はある。今後よくなる可能性を秘めた実力派だ。7月5日(日本時間6日4時~)に行なわれる直接対決を土台に飛躍するのはどちらか。
大会一のスターながらここまでまだ1ゴールのキリアン・エムバペ(フランス) photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る より実力が発揮されていないのがポルトガルだ。選手の質は間違いなく過去最高である。ブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド)、ルベン・ディアス、ベルナルド・シウバ(ともにマンチェスター・シティ)、ジョアン・カンセロ(バルセロナ)、ヴィティーニャ、ヌーノ・メンデス(ともにパリ・サンジェルマン)、ディオゴ・ジョタ(リバプール)......。スタメン候補で欧州のトップ15クラスのクラブでプレーしていないのは、クリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)、ぺぺ、ディオゴ・コスタ(ともにポルト)、ジョアン・パリーニャ(フルハム)の4人のみだ。
ポルトガルはご承知のとおり、前々回ユーロ2016の覇者で、決勝の相手は開催国で本命のフランスだった。大黒柱ロナウドが前半途中に負傷退場。絶対的なピンチに立たされたが、残された選手がしぶといプレーでフランスに食い下がり、スタッド・ドゥ・フランスを沈黙させる、まさかの痛快な優勝を飾った。
この時のポルトガルは、全7試合の戦いを通して徐々に好チーム化していった。フェルナンド・サントス監督(当時)の采配が光るいいサッカーが最後に爆発、番狂わせを起こした。それから8年後。ロベルト・マルティネス監督率いる2024年型のポルトガルに、いまのところ当時の面影を見ることはできない。選手のクオリティは上がったが、サッカーのクオリティは上がっていない。
ロナウドはかつてストライカー兼ウイングだった。センターフォワードでありながらサイドをドリブルで疾走するウイングプレーを得意とした。キリアン・エムバベ(パリ・サンジェルマン→レアル・マドリード)同様、走力も大きな魅力だった。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。