ユーロ2024ポルトガル対フランス ロナウド頼み、エムバペ依存は通用するのか (2ページ目)
【ロナウド色がいっそう強まったポルトガル】
だが、39歳になったいま、そのプレーを望むことはできない。何よりドリブル力が低下した。1トップとしてゴール前で張りついて構えているばかりである。体つきを見る限り衰えたという印象はないが、プレーエリアは大幅に狭まった。点で合わせるストライカー。ストライクゾーンの狭い選手になった。
しかし、依然としてポルトガルの大黒柱として君臨する。タレント軍団と化したポルトガルの1トップを張る。初戦のチェコ戦、2戦目のトルコ戦のみならず、120分の戦いに及んだ4戦目のスロベニア戦でもフル出場を果たした。グループリーグ突破が決まった3戦目のジョージア戦も、多くの選手を入れ替えて臨んだにもかかわらず、ロナウドは先発し、後半21分までプレーした。
全4戦で出場時間が最も長いのはGKディオゴ・コスタだが、2番手には39歳のストライカーの名前がくる。4試合の出場時間はなんと366分。控えのストライカー、ゴンサロ・ラモス(パリ・サンジェルマン)にポジションを譲った時間はわずか20数分しかない。選手交代5人制の時代において、超ベテランの1トップがほぼ出ずっぱりとはどういうことなのか。
7試合の道のりを考え、大ベテランを大切に使っているという感じではまったくない。あえて先頭に立たせている。その矛盾、弊害が見え隠れするのが現在のポルトガルだ。いまだにロナウド頼みの構図になっている。
PK戦に及んだ前戦のスロベニア戦では、延長前半、PKを外した。にもかかわらずPK戦では一番手として登場。無事に大役をこなし、チームをPK戦勝利に導いた。これでロナウド色はいっそう強まった印象だ。後半なかば過ぎにベンチに下がる姿は想像できない。フランスにこのやり方が通じるのか。疑問を覚える。
一方のフランスも、ここまでいい感じで来ていない。大会前はイングランドともにブックメーカー各社から優勝候補の一番人気に推されていたが、現在はスペインに抜かれ、ドイツに並ばれている。勢い、余力に乏しい戦いぶりである。
2 / 4