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ユーロ2024ポルトガル対フランス ロナウド頼み、エムバペ依存は通用するのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【サブ選手に出場時間が与えられないフランス】

 象徴的だったのは先のベルギー戦だ。決勝点が決まったのは後半40分。それまで0-0の状態が続く緊迫した試合だった。フランスは内容でわずかに上回っていたが、うまくいっているようには見えなかった。

 ディディエ・デシャン監督の選手交代が注目された。後半17分、1トップのマルクス・テュラム(インテル)に代え、ランダル・コロ・ムアニ(パリ・サンジェルマン)を投入。しかし交代はこれをもって終了した。わずか1枠しか使わなかった交代。むしろ使えなかったように見えた。

 同じく接戦(0-0)となったグループリーグ一番の好カード、オランダ戦も同様だった。ウスマン・デンベレ(パリ・サンジェルマン)→キングスレイ・コマン(バイエルン)、テュラム→オリビエ・ジルー(ミラン)の交代のみだった。3枠も余しながら引き分けたのである。

 レギュラーとサブがハッキリしているだけではない。サブ選手にはわずかしか出場時間が与えられていない。スタメンで最後まで押しきるしかない、試合の終盤に選択肢が残されていないサッカーに陥っている。選択肢が限られているので、この方法論では準決勝、決勝と試合が進むと苦しくなる。誰がスタメンなのかよくわからない面白さが、このチームには一切ない。

 スタメンの最適解も見つかっていない。1戦目(オーストリア戦)、2戦目(オランダ戦)は、4-2-3-1の前4人にエムバペ(左ウイング)、テュラム(1トップ)、アントワーヌ・グリーズマン(1トップ下/アトレティコ・マドリード)、デンベレ(右ウイング)を配したが、3戦目(ポーランド戦)は4-3-3にしてグリーズマンを外している。休ませたという見方もできるが、4戦目のベルギー戦では、布陣は4-3-3のままで、右ウイングをデンベレからグリーズマンに代えている。

 だが、いじるほど悪くなっている印象だ。1年数カ月前のカタールW杯では、ジルーが1トップを張っていた。テュラムはその交代選手だった。それに見慣れたものにとって、テュラムの1トップはハマり役に見えない。

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