ユーロ2024フランス対ベルギーの見どころは「ウイング」対決 決勝T1回戦屈指の好カードを制するのは? (2ページ目)
【欧州一のコンビ、エムバペ&デンベレ】
フランスは初戦(オーストリア戦)の終盤、大エースのエムバペが鼻を骨折。しかし3戦目(ポーランド戦)で復帰し、マンオブザマッチ級の活躍を演じているので、今後に向けて問題はないだろう。大会ナンバーワンのスターである。その活躍とフランスの成績は比例関係にある。
ポーランド戦でケガから復帰したキリアン・エムバペ(フランス) photo by Reuters/AFLOこの記事に関連する写真を見る 1戦目、2戦目を4-2-3-1で戦ったフランスは、3戦目を4-3-3で戦っている。だが、これは1トップ下のアントワーヌ・グリーズマンを休ませるための布陣と考えるべきで、ベルギー戦は、当初の4-2-3-1で戦うのではないか。
エムバペはマイボール時と相手ボール時とでポジションを変える。マイボール時は左ウイングとしてプレーするが、攻守が入れ替わり、相手ボールに転じると、1トップの位置に入る。エムバペと入れ替わるようにポジションを変えるのはマルクス・テュラム。マイボール時は1トップとして、相手ボール時は左ウイングとして相手のサイドバック(SB)の動きを牽制する。
エムバペの守備への負担を軽減させようとする作戦と思われる。テュラムはストライカー兼エムバペの影武者といったところだ。ベテランのオリビエ・ジルーには、さすがにその役を任せることはできない。テュラムがジルーに代わってスタメンを張る理由のひとつだろう。
攻撃時における最大の魅力は、そのエムバペとウスマン・デンベレが仕掛ける左右のウイング攻撃だ。両ウイングといえば、グループリーグではスペインのニコ・ウィリアムズ(左)とラミン・ヤマル(右)が、インパクトのあるプレーを披露。鮮烈な印象を与えているが、欧州一のコンビと言えばエムバペとデンベレだろう。テュラムを間に挟むこの3人を1トップ下のポジションから下支えするアントワーヌ・グリーズマンも、相変わらず技巧の粋を見せている。
そしてさらに、このアタッカー4人を下支えするエンゴロ・カンテの存在も見逃せない。今大会で復帰した33歳のベテラン。フランスのもうひとつの顔役である。ただ、そのために21歳のエドゥアルド・カマビンガの出場機会が失われていることも事実。これをどう捉えるか。フランスに勢いが出ない理由にも見える。
最終ラインで目につくのは左SBのテオ・エルナンデスだ。グループリーグで活躍した一番の左SBと言えばマルク・ククレジャ。彼なしにいまのスペインはないと言いたくなる貢献度大の左SBだが、それを僅差で追うのがエルナンデスだろう。この選手がボールに触れるとフランスは途端に安定する。
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