橋岡大樹のプレミア移籍も実現 シント・トロイデンはいかにして日本に欠かせぬクラブとなったのか (4ページ目)

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru

 ふたつ目の壁が壊れたのは、やっぱり2022年ワールドカップ。あの大会で『日本は強いな、すごいな』となった。それまでどこかに『サッカーではベルギーのほうが日本より上』という思いがあったと思うんですけど、その序列がひっくり返りはしなくとも、日本サッカーへの見方がだいぶ変わりました。そこまでに4年、かかりましたね。

 シント・トロイデンの運営をDMMが始めて6年。最初の2年くらいはサポーターとの距離があったし、コロナの影響もあってファンの声や情報が入ってこない時期もあった。だけど、昨シーズン(2022-23シーズン)は『日本人選手を何人獲ってもいいよ』と言われたくらい。今季はトルステン・フィンクさんを監督に招いて若い選手をグッと押し出し、特にローカルの選手を起用しているから、地元のファンは大喜びしています」

── シント・トロイデンには『ブランドマネジャー』という、クラブのイメージ向上に務める責任者がいます。そのような役職をつくった背景は?

「私の最初のニックネームを知っていますか? 『スタイエン(・スタジアム)のゴースト』。つまり、サポーターからすると、私は『スタジアムのなかのどこかにいるのは間違いないんだけど、俺たちの前に姿を現さない』という存在だったんです。

 私も悩むわけですよ。『こんなに日本人たちががんばってチームの成績が安定し、お金も持ってきているのに、ファンに伝わらない。なんでこんなに文句を言われないといけないの?』って。そのことをシント・トロイデンのダビド・メーケルス会長も近くで見ていて知っているから『タテさん、そのことをもっと言って、知ってもらったほうがいいよ』と、彼の知り合いを紹介してくれた。それがバート・スタスだった」

── バートさんはシント・トロイデンのU-19までプレーしていたそうですね。

「バートは何をすればローカルのファンが喜ぶか、わかっている。彼が私とファンの距離を縮めてくれたのは事実。そこは本当に感謝しています。

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