ネイマールにも余波 性的暴行で懲役4年半の判決が下ったダニエウ・アウベスのいま

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 女性に対する暴行事件で、今年2月、バルセロナの裁判所はダニエウ・アウベスに懲役4年6カ月の実刑判決を下した。U-20の頃から彼をずっと見てきた筆者は、とても残念でならない。

 まずはいったい何があったのか、順を追って見てみよう。

 ダニ・アウベスは2022年12月30日の夜、バルセロナのナイトクラブ「サットン」のVIPルームの化粧室で、23歳の女性に性的暴行をした。この件は翌日には報じられ、ビッグニュースとなって世界をめぐり、2023年1月10日には被害者女性は正式にダニ・アウベスを告発した。

 ダニ・アウベスは事件後、一度ブラジルに帰国していた。だが現在付き合っているスペイン人モデル、ジョアナ・サントスの母親が亡くなり、その葬儀に参列するため再びスペインに飛ぶ。そして1月20日、自らスペイン警察に出頭した。

 どうも彼は当初、事件を軽く考えていたようだ。自分は有名人だし、どうにかなると高をくくっていたに違いない。逆に「いい人」アピールをするつもりだったのかもしれない。しかしダニ・アウベスはその場で即逮捕、拘留された。普通は裁判まで収監されないものだが、彼の場合は違った。イタリアで暴行事件を起こして有罪になったものの、ブラジルに逃げ帰ってしまったロビーニョのように、彼がスペインから出てしまうことを当局は危惧したようだ。ブラジルでは、国外で有罪となった自国民を相手国に引き渡すことが禁止されている。ブラジルに帰られてしまっては、罪が問えなくなってしまうのだ。

バルセロナの裁判所で懲役4年半の判決を受けたダニエウ・アウベス photo by Reuters/AFLOバルセロナの裁判所で懲役4年半の判決を受けたダニエウ・アウベス photo by Reuters/AFLO 何が一番残念かといえば、ダニ・アウベスがころころとその証言を、なんと5回も覆したことだ。

 事件直後の1月5日、彼はバルセロナのテレビ局『アンテナ3』のビデオインタビューで「女性とはまるで面識はない」とすべてを否定した。トイレには行ったが、個室は閉まっており、中に誰がいたかも知らない、と言うのだ。

 しかしその後、化粧室入り口の防犯カメラに彼も女性も映っており、ダニ・アウベスが25分近くも化粧室にいたことが判明する。すると今度は「自分がトイレにまずいて、確かにその後、女性がやって来た。しかし何もしてはいない」と主張を変える。

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