橋岡大樹のプレミア移籍も実現 シント・トロイデンはいかにして日本に欠かせぬクラブとなったのか (5ページ目)

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru

 今、私のニックネームは『ミスターT』に変わりました。クラブのスタッフも、私のことをそう呼んでます。バートは『ミスターTがシント・トロイデンでこんなにもすごいことをやっているのか、僕だったらファンにわからせることができる』と言って、彼の発案で『T-TIME』というYouTube番組が始まりました。

 あとは、ファンとのミーティングを年に2回、開くようになりました。ゴール裏のコアファン向けと、シーズンチケットホルダー向けに。テーマは大きく分けて3つあります。財政面の説明、補強などスポーツ面の話、そしてQ&A。昨冬はクラブ100周年のイベントの話もしました。

 ゴール裏ファンは『負けてもいいからアカデミー出身の子を抜擢して』とかエモーショナル。シーズンチケットホルダーは核心を突く質問をしてくる。彼らは試合をよく見ているし、しっかり地元紙を読んで情報を収集してます。逆にゴール裏ファンは内部事情に詳しかったりする」

── シント・トロイデンの日本語版ウェブサイトを見ていると「株式会社△△様とスポンサー契約しました」というニュースが多く、今年1月は7件の新規スポンサー契約ニュースがありました。営業力がすごいですね。

「私もそう思います。今は『100万円スポンサー』という小口スポンサーの開拓に力を入れてます。うちのビジョン『ここから、世界へ』に共感していただいた日本企業や個人がシント・トロイデンを応援してくれて、スポンサーにもなっていただいている。イメージは『ふるさと納税』。目標は1000件。それだけ集まると、10億円になります」

── それはかなりの額ですね。

「サイン入りユニフォームを1枚渡すだけでなく、交流パーティに招待したり、名産品などの詰め合わせで6割分を返礼する。それでも10億円のスポンサー収入から4億円の利益が生まれるわけじゃないですか。日本では今、営業部隊が小口スポンサー獲得にフォーカスしています」

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