橋岡大樹のプレミア移籍も実現 シント・トロイデンはいかにして日本に欠かせぬクラブとなったのか (2ページ目)
私は『シーズン中の今、その議論をするの?』と驚きました。G5(当時のビッグ5。クラブ・ブルージュ、アンデルレヒト、スタンダール・リエージュ、ゲンク、ゲントはリーグの政策決定に影響力があった)がシント・トロイデンのプレーオフ1進出を潰しにきたのです」
── しかしその後、ホームスタジアムの人工芝はあまり大きな話題になっていません。
「あの年のレギュラーシーズン最終戦で、シント・トロイデンはゲントに敗れて7位になったんです。うちがプレーオフ1進出を逃して、逆にゲントが6位に滑り込んだことで、人工芝の議案は自然消滅しました。ほんと、この国は怖いよね(苦笑)。
でも最近、ゲントの会長がテレビのインタビューで『この5年間で、成功した外資系クラブはシント・トロイデンだけ』と言ってくれていました。それは本当にありがたい」
── ゲントと言えば人工芝問題の......。
「そう! 彼らにはいじめられた(笑)。しかし、その人たちが今は認めてくれています。こうしたことを経て、各クラブの会長・CEOたちと仲良くなりました。よくここまで来たなと思います」
── もう敵はいないですか?
「認めてくれていますね。今、ベルギーのクラブは経営が厳しく、昨季は1部16クラブ、2部12クラブのうち、22クラブが赤字決算だった。シント・トロイデンは数少ない黒字6クラブのひとつとなり、利益も上から3番目。そのことは大きなニュースになりました。
私がベルギーに来た時、外資系クラブは3つぐらいでしたが、今は1部・2部合わせて17クラブ。そのほとんどが経営に苦労している一方で、シント・トロイデンは健全経営です。
私たちは特別、変わったことをしていません。日本人の気質として、キチンと収支を合わせているだけです。外資のリーグ参入によってどんどん人経費や競争力が高まっているために、周りのクラブが無茶な経営、無理な運営をしているだけ──それが私の率直な感想です。そもそも親会社が日本企業だから、シント・トロイデンはおかしな経営・投資はできない。
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