三笘薫のドリブルはなぜ速いのか風間八宏が分析「ドリブル時のボールの回転に注目」 (2ページ目)
【トレンドの「運ぶドリブル」】
ドリブル突破というと、どうしてもフェイントなどテクニックを駆使しながら相手を抜き去るイメージがつきまとうが、明らかに三笘のドリブルはそのイメージとは異なっている。風間氏が続ける。
「三笘のドリブルもそうですが、近年は相手を抜き去るドリブルではなく、自分が行きたいところにボールを運ぶドリブルが主流になりつつあります。相手をよけるけれども、抜くわけじゃない。行きたい場所に直線的にボールを運び、なおかつ最短で進むことによって、相手を置き去りにしていく。これがトレンドになっています。
行きたい場所に最短で進むには、常にボールを縦回転で転がし、自分よりも前で走らせている状態でなければいけません。三笘のドリブルを見れば一目瞭然ですが、そういったボールタッチが正確にできるかどうかが、とても重要な要素といえます」
独特のドリブルテクニックによって、一躍プレーヤーとしてのステイタスを上げることに成功した三笘だが、しかしドリブルだけが武器にあらず。
とりわけカタールW杯以降は得点力がアップ。昨シーズンに挙げた7ゴールのうち、実に6ゴールをカタールW杯後のシーズン後半戦に記録し、今シーズンもすでに3ゴールをマークするなど、フィニッシャーとしての能力も高めている。
「ゴールを決められるようになってきたのは、彼がゴールを決めるためのポジションを見つけられるようになったからです」
三笘がゴールを決められるようになった最大の理由を、風間氏が説明する。
「ゴールを決める前の動きを見ていればわかると思いますが、相手の動きをしっかり見て、常に相手の背後にポジションをとっています。そういうのを覚えたことで、無駄に相手と競り合わなくてもシュートできるようになりました。
ヘディングで決めたゴール(第6節ボーンマス戦)などはその典型で、ゴール前に早く入りすぎず、相手を見ながらDFの背中をとったことで、完全にフリーの状態でヘディングシュートを決めています。あの時の三笘は、ボール、味方、敵と、すべてが見える状態のポジションをとれていました。
ゴール前で冷静にそのような動きをするのは、簡単ではありません。そういう意味で、ドリブルだけでなく、シュートについても、三笘のプレーは実に理にかなっていると思いますね」
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