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イスラエル、パレスチナでスポーツ界にも多くの犠牲者が 戦争は未来をも奪おうとしている

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ガザのパレスチナ自治区を実効支配するハマスがイスラエルを攻撃したのを皮切りに、両者が戦争状態に突入してから1カ月が経とうとしている。多くの尊い命が犠牲となり、甚大な被害が生まれているが、スポーツの世界もまたその影響を大きく受けている。ガザで、ヨルダン川西岸で、そしてイスラエル全土で、あらゆるスポーツイベントが停止している。

 国際試合で最初に動いたのはバスケットボールのユーロリーグだった。同リーグはハマスの襲撃の数日後に行なわれる予定だった2試合の延期を発表した。イスラエルのマッカビ・テルアビブは、ユーロリーグを6回も制したヨーロッパ屈指の強豪である。彼らのホーム戦は延期になった末、相手チームの本拠地でプレーされることとなった。

 それに続いたのがサッカーだ。UEFAは、イスラエル代表のユーロ2024予選、対コソボ戦とスイス戦、また、イスラエルU-21代表のエストニア戦とドイツ戦を延期。さらにイスラエル、ベルギー、ジブラルタル、ウェールズが対戦するはずだったU-17のトーナメントも延期された。また、イスラエルのクラブチーム、マッカビ・ハイファはヨーロッパリーグに参戦しているが、ホームで行なわれるはずだった第4節ビジャレアル戦は、中立地のキプロスで、無観客で行なわれた。

ヨーロッパリーグのマッカビ・ハイファのホーム戦はキプロスで無観客で行なわれたphoto by Danil Shamkin/NurPhoto via Getty Imagesヨーロッパリーグのマッカビ・ハイファのホーム戦はキプロスで無観客で行なわれたphoto by Danil Shamkin/NurPhoto via Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る ちなみにイスラエルのスポーツのほとんどは、アジアではなくヨーロッパの団体に属している。これは近隣のアラブ諸国がイスラエルと対戦することを拒むからである。対戦してしまえば、彼らから見て領土を不法に占領しているイスラエルをひとつの国として認めてしまうことになるのだ。

 一方、パレスチナでは紛争のために空港が使えなくなり、ヨルダンとの陸路も閉鎖されたため、サッカーの代表チームは10月13日から17日までマレーシアで開催された親善試合、ムルデカトーナメントに出場することができなかった。

 パレスチナ代表は近年、ガザを拠点とする選手への依存度が下がっており、優秀な選手の多くは、より良い報酬と条件を求めて、ヨルダン川西岸地区やエジプトのリーグに集まっていた。だが、イスラエルのガザ侵攻による影響で、ウェストバンク(ヨルダン川西岸)プレミアリーグも無期限中断となった。

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