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堂安律の代表落選は計画的 W杯予選やアジア杯を見据え「背番号10」を取り戻す (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

【40度の高熱と嘔吐が続き、かなり弱気に】

 立ち上がりに失点したこともあり、前半はロングボールに終始していたフライブルク。シュトライヒ監督はハーフタイムに修正を行なったといい、「後半は数回、ビルドアップからいい攻撃が生まれた」と評価した。

 試合自体は66分にセットプレーから失点して敗れたが、「後半のプレーをうれしく思っている。選手たちを悪く評価したくない」と試合を立て直して善戦したことを前向きに捉えていた。指揮官を喜ばせた選手たちの一部に堂安が含まれていることは言うまでもない。

 振り返れば、2023年の堂安は体調不良が重なってきた。2月には40度の高熱と嘔吐が数日間続き、ピッチから離れた。よほど苦しかったようで、「治るのかどうかさえ不安になった」とビルト紙に明かしている。

「ベッドに横になっていて、本当につらかった。熱で具合が悪いし、もしも治らなかったら......と2倍悪いほうに考えてしまっていた。それに、発熱する前の数週間、試合では運から見放されていたのに、今はこんな状況で......って悪い方向にしか考えられなかった」

 当時はワールドカップでのゴールによって、フライブルクでもワールドカップ以上の活躍が期待されていた頃だった。それに応えられない自分への苛立ちもあっただろう。かなり弱気になったことがコメントからはうかがえる。

 ただ、復活するとメンタルの立ち直りも早かった。

「健康に戻った時は本当に気分がよくて、どうしてかわからないけど、前よりもパワフルになった気さえする」

 一気に明るさを取り戻すあたりも、堂安のなんだか憎めない一面だなと思ってしまう。

 そんな苦しい2月の経験を乗り越えたのち、今度は親知らずの治療──。どうやら体調のトラブルに見舞われがちな1年のようだ。

 しかし一方で、健康の重要性を誰よりも痛感したはず。10月のキリンチャレンジカップでは誰が10番を背負うのかはわからないが、11月シリーズ以降、堂安はそれを取り戻し、そのうえで活躍して日本を勝たせたいと思っているだろう。

 そのためにも、計画された準備期間が、今回の"落選"である。発熱の時と同じように、さらにパワーアップした堂安の復帰を待ちたい。

久保建英や鎌田大地、三笘薫など日本人選手の活躍にも期待!
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著者プロフィール

  • 了戒美子

    了戒美子 (りょうかい・よしこ)

    1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。

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