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南野拓実に失格の烙印を押した地元紙も絶賛 昨季からの変化は「力勝負のボールロス激減」 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

【以前と違ったプレーを試みた】

 では、なぜ今シーズンの南野は、見違えるほどの活躍ぶりを披露できているのか。その伏線は、南野が不振にあえいでいた昨シーズン後半戦にあった。

 昨シーズンのリーグ・アン第22節のクレルモン戦。当時5戦連続で出場機会を失っていた南野は、4-2-3-1の1トップ下でスタメン出場を果たすと、ゴールやアシストこそ記録することはなかったが、シーズンベストと言えるほどのパフォーマンスでチームの勝利に貢献した。

 とりわけ前半13分のモナコ2点目のゴールは、南野を起点に生まれたショートカウンターからのゴールだった。

 中盤に下りた南野がクレルモンのMFサイフ=エディン・ハウイ(現ホール・ファカン・クラブ/UAE)からボールを奪ってドリブルで前進。抜群のタイミングで左サイドのMFアレクサンドル・ゴロヴィンに展開し、そのゴロヴィンのクロスをFWブレール・エンボロがフィニッシュした。

 結局、その試合で上々のプレーを見せた南野は85分間プレーしたのだが、当時のモナコには前線中央に6人の戦力がひしめいていたこともあり、その後も多くの出場機会を得られないまま、失意のシーズンを過ごすこととなった。

 ただ、その試合で見逃せなかったのは、南野がそれ以前とは違ったプレーを試みていたことだった。

 それまでの南野は、ボールを受ける時に相手に詰め寄られると、力勝負でボールをキープしようとしたり、焦ってトラップミスをしたり、とにかくボールを失うシーンが少なくなかった。

 もちろんプレミアリーグを知る南野には、デュエル勝負でも勝てる自信があったのだろう。だが、リーグ・アンの選手の寄せ、足の出し方、体の使い方には独特なものがあるため、それに適応できないままシーズン前半戦が終わった印象だった。

 ところが、その昨季のクレルモン戦の南野は、相手が間合いを詰めてくる場合はシンプルにダイレクトパスで味方にボールを預け、フリーな状態でボールを受ける場合は素早くドリブルに移行して次の展開につなげるなど、プレー選択の判断、そしてボールコントロールの精度の面で、改善の兆しを見せていたのである。

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