久保建英はメッシに近づくことができるか その座を競うリーガの左利きアタッカーたち (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【リーガ最高の左利きアタッカーは?】

「メッシの後継者」

 そう呼ばれる選手はこれまでも数多いたわけだが、現在、一番近い位置にいるのが久保だろう。対人で単独の切り崩し、意外性のあるシュート、高速のコンビネーション力にも長ける。爆発的なスプリントはないが、機動力は抜群だ。

 バルサでは今も「久保を逃したのは、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長時代の数多い損失のひとつ」と語られる。FC東京から100万ユーロ(当時のレートで1億3000万円)で買い戻せたにもかかわらず、それをケチってレアル・マドリードに獲られた。昨シーズン、ラ・レアルは久保をマドリードから移籍金600万ユーロ(約9億円)で獲得したが、1年で価値は10倍まで高騰しているのだ。

 もちろん、ラ・リーガには他にも腕利きの左利きアタッカーがいる。

 バルサが移籍金約90億円で獲得したブラジル代表26歳、ラフィーニャはそのひとりだろう。昨シーズンは1年目ながら、後半戦から主力に定着。今シーズンは開幕のヘタフェ戦で先発し、果敢にゴールへ迫ったが、相手の挑発に乗って退場処分に。性格にムラがあり、年俸も15億円と、コスパがいいとは言えないが。

 現在のラ・リーガで最高の左利きアタッカーは、アトレティコ・マドリードのフランス代表アントワーヌ・グリーズマン(32歳)だろう。昨シーズンもチームのベストプレーヤーだった。卓越したテクニックを戦術のなかで生かし、「戦闘本能」も持った選手で、ディエゴ・シメオネ監督の申し子。2大会連続W杯ファイナリストになった経歴は伊達ではない。

 一方、久保の下の世代の躍進も目覚ましい。

 バルサで新時代の息吹を感じさせるのは、16歳のラミン・ヤマルだろう。スペイン人だが、モロッコ人と赤道ギニア人のハーフで、独特の体のバネを持つ。今年4月のベティス戦で15歳9カ月のトップデビュー。クラブ史上最年少記録を更新した。開幕のヘタフェ戦でも、交代出場で中央に鋭く切り込み、センスを強く匂わせる決定的パスを通していた。順調に成長した場合、末恐ろしい。

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