マンチェスター・シティ、レアル・ソシエダ...「左利き優先チーム」が席巻する理由 (3ページ目)
一方、負けないために相手の良さを潰し、リアクション戦術で勝機を見出すチームでは、闘争心で屈強な肉体を旋回させるほうが重んじられる。ディエゴ・シメオネが率いるアトレティコ・マドリードなどは好例だろう。フランス代表アントワーヌ・グリーズマンは左利きだから重用されるのではなく、"戦えるアタッカー"だからだ。
いずれにせよ、強力なチームを作り上げるには左利きを擁することが定石と言えるだろう。レアル・マドリードも常に左SB、左CB、ボランチ、右アタッカーにはレフティがいる。今シーズンも左SBにはスペイン代表フラン・ガルシアを補強し、パリ・サンジェルマンに移籍したスペイン代表マルコ・アセンシオの代わりにトルコ代表アルダ・ギュレルを獲得した。
左利きが世界のサッカーを席巻するのは、それだけの意味があるのだ。
ちなみに最大の希少種は、右利きでも左利きでもない。利き手、利き足がともに両利きで、フランス代表ウスマン・デンベレはその典型だろう。ただし、生来的両利きはごく少なく、プロ選手の数も限られている。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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