マンチェスター・シティ、レアル・ソシエダ...「左利き優先チーム」が席巻する理由 (2ページ目)
【アーセナル、レアル・マドリードも】
ミケル・アルテタ監督は攻撃的スタイルの信奉者だが、左サイドバックにウクライナ代表オレクサンドル・ジンチェンコorスコットランド代表キーラン・ティアニー、左センターバックにブラジル代表ガブリエウ・マガリャエス、MFにドイツ代表カイ・ハバーツ、ノルウェー代表マーティン・ウーデゴール、右アタッカーにはイングランド代表ブカヨ・サカを起用。左利きカラーが濃厚なチームとなっている。
左利き優先は、能動的な"ボールありき"のプレーをするチームに顕著に見られる。ボールの通路が確保できるだけでなく、左利きが持つ独特なリズムが、相手の守備に風穴を開ける。たとえばFCバルセロナが全盛だった時代、左利きのリオネル・メッシのカットインに一番敏感に反応したのは左利きのジョルディ・アルバで、相手の機先を制して得点シーンを作り出していた。
前線をほぼ左利きの選手で固めてきたレアル・ソシエダの久保建英この記事に関連する写真を見る また、昨シーズンのレアル・ソシエダは前線の主力5人全員がレフティだった。左利きが織りなすコンビネーションは見物で、トップ下に入ったダビド・シルバはまさに「魔法使い」の域に達していた(前十字靭帯断裂による現役引退は残念だ)。日本代表の久保建英は、左利きが自由な発想でプレーする環境で、その才能が最大限に解き放たれたと言えるだろう。
「左利きは好きですね」
サガン鳥栖の川井健太監督が、そう明かしていたことがある。鳥栖は左利きを重用。左利き同士の共鳴で、堀米勇輝は今やJリーグでトップレベルの創造性を見せるほどだ。
「答えは解明できていないですけど、たとえば左利きの選手って、カットインからシュートの確率が高い。(日本は)右利き文化で、育成から右利き同士は多く対戦経験を積み重ねていますが、マイノリティのアドバンテージがあるのかもしれません。ボランチに左利きの手塚康平を獲ったのも、左方向にボールを配給できることがあったから」
Jリーグでは、レフティそのものが少ないのが実状だろう。二強と言われてきた横浜F・マリノス、川崎フロンターレに左利きがしっかり陣取っているのは興味深い。攻撃原理に基づいたチームにおいて、左利きは欠かせないのだ。
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