久保建英はなぜソシエダで輝けたのか チーム年間最優秀選手にも選ばれ「タケはラ・レアルの男になった」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 もちろん、久保にとってラ・レアルこそ求めていた場所だった。チームがボールプレーを重んじていたのは、大きなアドバンテージだったと言える。コンビネーションを使った攻撃に特徴があったのもあるだろう。ダビド・シルバという助っ人がいたことも、久保の力を開花させた。

 ラ・レアルの本質が、"共闘精神"にあることも追い風になった。バスク人特有だが、実直に戦う人間をリスペクトする風土と言えばいいだろうか。他のスペインの地域、たとえばアンダルシアのように、抜け目のなさが尊ばれる環境とは一線を画す。己の持ち場を守りながら、仲間を助けられるか。たとえばスビエタ出身のトップ選手が育成年代の試合を観覧するのは習慣になっており、共闘が義務ではなくDNAに組み込まれているのだ。

「タケはラ・レアルの男になった!」

 ラ・レアル関係者の表現が、久保の2022-23シーズンを象徴しているのかもしれない。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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