久保建英はなぜソシエダで輝けたのか チーム年間最優秀選手にも選ばれ「タケはラ・レアルの男になった」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【「スーパーな補強選手だった」】

 27分、チームは押し込み、ショートカウンターもはまりつつあるなかで、メンデスが先制に成功した。

 二桁得点を狙っていた久保も、次第にギアを上げていった。30分、自陣奥深くからドリブルを始めると、右タッチラインで若いDFディエゴ・オルミゴを誘い込み、見事に入れ替わる。トップスピードのなかで瞠目すべき技術精度だった。60メートル以上の爆走で、最後はメンデスにラストパス。シュートは阻まれたが圧巻だった。44分にも、パスを受けるとワンタッチでオルミゴを置き去りにし、格の違いを見せつけた。

「久保は止められない存在だった。10得点目になるゴールこそ決められなかったが、ニアサイドを狙った際どいシュートなど、チャンスを作ったし、若いオルミゴを翻弄。ブライスとのコネクションは銀河系レベルだった。あらためて、スーパーな補強選手だった」

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、久保を絶賛している。

 後半、久保はフリーで迎えたシュートシーンで、虚を突いてニアに打ち、わずかに外した。これが最大の決定機だったか。結局、目標にしていた「二桁得点」は達成できていない。

 もっとも、試合全体での貢献度は高かった。右サイドの守備では終始、相手に自由を与えていない。また、右からカットインし、横切ることで守備ラインにズレを生み出し、逆サイドのアレクサンダー・セルロートが決定機を迎えるなど、攻撃そのものを動かしていた。

 現地ラジオでは、久保がチーム年間最優秀選手に選ばれたという。1年を通じ、彼ほどコンスタントに活躍したアタッカーはチームにいなかった。9得点の9試合全勝というのも華々しい。ゲームMVP受賞回数はチーム最多で、ラ・リーガのベストイレブンにも相当する活躍だ。

 忘れそうになるが、そもそもラ・レアルで出場するためには激しい競争がある。71分、久保と交代で出場したモハメド・アリ・ショが鮮やかに追加点を決めたように、高い能力の選手たちが揃っている。ミケル・オヤルサバルが復活し、アンデル・バレネチェアなどスビエタ組が台頭しても主力であり続けることが、どれだけの高いハードルだったか。

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