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バルサ、リーガ優勝目前の憂鬱 シャビ監督のもとメッシ復帰説が流れ、生え抜き選手が散っていく (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

【勝ち点はとれるようになったが...】

 その強さを解剖した時、「個に頼った堅守カウンター型」が実状で、それはバルサの進むべき道なのか。評価は分かれるところだ。

 チャンピオンズリーグでは、グループリーグで敗退。回ったヨーロッパリーグでは、マンチェスター・ユナイテッドに対し、何もできなかった(そのマンUはすでにセビージャに呆気なく敗退している)。そしてスペイン国王杯では、レアル・マドリードを相手に一敗地にまみれている。直近のラ・リーガでも、ラージョ・バジェカーノ相手にいいところがなく、2-1と黒星を喫した。

 バルサは本当に強いのか? その疑問は拭いきれない。

 大金を叩いてキャリアのある選手を買い取って、効率的な攻守を展開できるようにはなった。しかし、かつてのようなリズミカルなボール回しは影をひそめた。バルサのアイデンティティは、最少失点で勝つことだったのか。「ボールは汗をかかない。とにかく走らせろ」「無様に勝つな、美しく散れ」「4点とられたら5点とって勝つ」。それが"バルサ中興の祖"であるヨハン・クライフの教えだ。

 下部組織であるラ・マシア出身の選手の出場機会が限定されているのも懸念材料だろう。今や天才アンス・ファティまで売却が噂されるほど、不遇を囲っている。ラ・マシア出身であるシャビ監督がトップデビューさせ、トップに定着させた選手は未だひとりもいない。クライフ、フランク・ライカールト、ジョゼップ・グアルディオラといったかつての指揮官がラ・マシアを重んじ、選手を引き上げ、「バルサ」を継承した事実を考えれば、物足りない。

 たとえばグアルディオラは、セルヒオ・ブスケツをトップデビューさせ、世界最高のMFのひとりにした。さらに、ペドロ、チアゴ・アルカンタラもバルサとスペイン代表を支える選手にしたし、ボージャン・クルキッチもデビュー1年目は華々しい活躍を見せた。

 他にも、ビクトール・サンチェス、ジェラール・デウロフェウ、イサク・クエンカ、マルク・バルトラ、ジョバニ・ドス・サントス、ジョナタン・ドス・サントスなど、指揮官が引き上げた選手は枚挙にいとまがない。成功とまでは言えないまでも、彼らを起用することでラ・マシアの少年たちに夢を与え、競争を活性化させていた。

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