三笘薫のリーズ戦の見せ場は先制弾アシストをはじめ4回 相手の右SBは一度も勝てなかった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by PA Images/AFLO

【1対1を余裕でかわすと...】

 そのタイミングで再び登場したのが三笘だった。前半44分、左サイドで上々のコンビを組むエクアドル代表の左SBペルビス・エストゥピニャンから、左サイド前方に送られた縦パスに三笘は鋭く反応。先制点のシーンで、ヘッドで競り勝ったSBのアイリングの背後を深々と突いた。

 すると三笘は右足のアウトで、中央に丁寧なラストパスを送る。マカリスターがシュートモーションに入った時、勝ち越しゴールは決まったも同然かと思われた。ところが、W杯の優勝メンバーはこれを右に外してしまう。三苫は2点目のアシストを逃してしまった。

 三笘にはこの試合、もう2回、見せ場が到来した。ひとつは後半16分のシーンで、三笘はその時、左ウイングの定位置で対面の関係にあるアイリングに1対1を挑んでいた。筆者の予感によれば、三笘の勝つ確率は8割だった。世界広しと言えども、ここまで高確率の期待を抱かせるウインガーはザラにない。

 案の定、ことは予想どおりに進行した。三笘はアイリングを余裕でかわすと、ゴール前に決定的なボールを折り返した。運が悪かったのは、得点者がブライトンの選手ではなかったことだ。リーズのイングランド人MFジャック・ハリソンのオウンゴールとなり、三笘にはまたしてもアシストがつかなかった。

 さらに、ハリソンの負けじ魂にも火を点けてしまった。ブライトンは後半33分、そのハリソンに同点弾を浴び、2-2とされてしまう。

 三笘が作ったもう1回の見せ場は、試合も押し詰まった後半40分だった。イングランド代表歴があるブライトンのCBルイス・ダンクが、最終ラインから左のタッチライン際で構える三笘に縦パスを送った。そこに狙いを定めて潰しに来たのはアイリングだった。三笘との争いに1度も勝てていないリーズの左SBは名誉挽回とばかり、猪突猛進してきた。

 だが三笘はそれを察知していた。軽々と、出し抜くような動きでアイリングをかわし身体を入れ替えるや、背後を取った。渾身のドリブルでライン際まで進出。折り返しを図った。

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