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久保建英「唯一の脅威だった」ローマ戦で敗れるも高評価 ソシエダは2点差の逆境を跳ね返せるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Insidefoto/AFLO

「Insistente」

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、「しつこい、執拗な、いつまでも終わらない」という意味のスペイン語で、久保建英(21歳、レアル・ソシエダ)のプレーを評している。切れ目なく攻め続けた姿への称賛だ。

「シュートをポストに当て、際どいクロスは(相手センターバックのクリス・)スモーリングがあわやオウンゴール、ミケル・メリーノのロングパスに反応した場面もあと一歩だった。右、正面とチームの攻撃の"活性化役"に。相手と対峙し、コンビネーションを用い、常に危険な存在だった」

 同紙は、久保をチームベストプレーヤーに選出している。

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』も、チームトップ(マルティン・スビメンディとともに)の二つ星をつけた。「久保はチャンスを作った」と高評価。他の各メディアも、久保への評価は落ちていない。

 しかし、ヨーロッパリーグ(EL)ラウンド16ファーストレグ、久保を擁するレアル・ソシエダ(ラ・レアル)は、敵地でイタリアの古豪ローマと対戦したが、2-0と完敗している。

「(セカンドレグを残すが)ほぼ敗退」と、厳しく見出しをつけたメディアもあった。

 果たして久保のラ・レアルは逆境を跳ね返せないのか?

ドリブルでブライアン・クリスタンテ(ローマ)をかわす久保建英(レアル・ソシエダ)ドリブルでブライアン・クリスタンテ(ローマ)をかわす久保建英(レアル・ソシエダ)この記事に関連する写真を見る ラ・レアルが「勝負強さ」の点で劣勢だったことは間違いない。

 ローマを率いるジョゼ・モウリーニョ監督は、トーナメント戦を勝ち抜くスペシャリストと言える。過去にポルト、チェルシー、インテル、レアル・マドリードと、欧州カップの一発勝負で采配の妙を見せてきた。ローマでも、昨シーズン、ヨーロッパカンファレンスリーグ(ELのひとつ下のカテゴリー)で優勝している。

「我々の強みはチームの組織力。敵をよく分析し、何を欲しているのかを理解し、自分たちがすべきことをする」

 モウリーニョは試合後に語ったが、相手の長所を徹底的に消していた。たとえば、ラ・レアルは、ライン間でプレーしてコンビネーションを広げて守備陣を崩すのが持ち味だが、緊密な距離感を保ってすり潰した。外側から中央に入っていく動きに対しても、ウイングバック、外側のセンターバック、ボランチの3人で門に閂(かんぬき)をかけた。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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