三笘薫のリーズ戦の見せ場は先制弾アシストをはじめ4回 相手の右SBは一度も勝てなかった

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by PA Images/AFLO

 リーズとアウェーで対戦したブライトンはその試合前、プレミアリーグのチャンピオンズリーグ(CL)出場圏内である4位トッテナム・ホットスパーに勝ち点7差と迫っていた。ブライトンの試合数がスパーズより3試合少ないことを考慮すれば、背中がハッキリ見えた状態にあった。対戦相手のリーズは19位に沈んでいる降格候補。ブライトンにとって上位との差を詰める絶好のチャンスだった。

 三笘薫は33分の先制ゴールにアシスト役として貢献した。イングランド人CBアダム・ウェブスターの右のオープンスペースに出した縦パスに合わせて深々と走り込んだドイツ人MFパスカル・グロスが、鋭い切り返しからセンタリングを逆サイドに送り込む。その時、ファーポストで待ち受けていた三笘と、マーカーであるリーズのイングランド人右SBルーク・アイリングとの身長差は7センチ。空中戦では三笘に分がないかと思われた。ところがジャンプ一番、三笘は躍動した。ふわりと浮き上がり、首ひとつ分抜けると、ゴール正面で構えるアルゼンチン代表MF、アレクシス・マクアリスターに頭でやさしくラストパスを落としたのであった。

リーズ戦にフル出場、先制ゴールをアシストした三笘薫(ブライトン)リーズ戦にフル出場、先制ゴールをアシストした三笘薫(ブライトン)この記事に関連する写真を見る イングランドといえば1990年代あたりまでは、世界で最も放り込み戦法が目につくリーグだった。華奢な日本人には真似できそうもない空中戦こそが最大の魅力だった。グロスが三笘に送ったセンタリングは放り込みではなかった。浮き球ではあったが精度高い確かなパスだった。しかし大柄なイングランド人DFに対し、タイミングをずらし、柔よく剛を制すようなジャンプで競り勝つ三笘は、文字どおり雄姿に映ったものだ。隔世の感を抱かずにはいられなかった。

 ブライトンは、この試合はもらったと言わんばかりに、ボールを徹底的につなぎ、リーズとの差を誇示しようとした。だが、少々やり過ぎた感なきにしもあらずで、その結果、上手の手から水は漏れた。前半40分、イングランド代表歴もあるリーズのCFパトリック・バンフォードに正面から一撃を食らい同点とされる。

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