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久保建英「唯一の脅威だった」ローマ戦で敗れるも高評価 ソシエダは2点差の逆境を跳ね返せるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Insidefoto/AFLO

【「トーナメントの勝ち方を知っている」ローマ】

 一方、効率的で抜け目のないカウンターは、もはやモウリーニョの"芸術"だ。
 
 前半12分、ラ・レアルはやや手数をかけて攻撃に出たところ、サイドバックが上がりきったスペースをパウロ・ディバラに狙われてしまう。電光石火のカウンターで後手に回って、そのクロスを、ステファン・エル・シャーラウィに叩き込まれた。先制点は完全に術中にはまった格好だった。

 久保はそんな狡猾なローマに対し、唯一、脅威を与えていた。

 21分、久保は右サイドで対峙したロレンツォ・ペッレグリーニを、緩急を駆使したドリブルで抜き去る。追走も許さず、エリア内に入って、ゴールのニアサイドに鋭い一撃を打ち込む。ボールはGKとポストに当たってしまい、惜しくもCKになったが、単独で最大の好機演出だった。

 27分にも、右サイドでエル・シャーラウィと1対1になると、抜け切らずにダビド・シルバへ技巧的クロス。かなり際どい軌道だったことで、スモーリングがクリアしきれず、オウンゴール寸前になった。久保の技量の高さが出た。

 ローマ陣営も、久保への警戒を強めていた。ジャンルカ・マンチーニがシャツを引っ張り合いながら転倒するなど、せめぎあいは激しかった。中に入ってくる久保に対しては、ネマニャ・マティッチが対応。結果、外からはいくらかダメージを受けたものの、どうにか失点を防いだ。

「モウリーニョのローマは、トーナメント戦の勝ち方を知っている。競争力の高いチームで、決して"プレゼント"はしてくれない。逆に我々は2点目をプレゼントし、(セカンドレグに向けても)追い込まれてしまった」

 ラ・レアルのイマノル・アルグアシル監督が正直に吐露したように、終盤、ディバラのCKからマラシュ・クンブラに叩き込まれた2点目は、逆転に向けて重くのしかかるだろう。

 では、セカンドレグでの逆転は不可能か?

 単刀直入に言って、戦況は厳しい。ダビド・シルバ、ミケル・オヤルサバル、モハメド・アリ・チョの戦列復帰は喜ばしいが、まだ本調子ではないだろう。ブライス・メンデス、ミケル・メリーノも、最近はやや調子を落としている。

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