マンU戦でのバルサの敗因。後半、守りに回って出てしまった伝統的弱点

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuter/AFLO

 2月23日、欧州各地でヨーロッパリーグ(EL)のラウンド16進出プレーオフ第2戦の8試合が行なわれ、いずれも熱戦を繰り広げている。

 日本人を擁するチームでは、MF守田英正が先発したポルトガルの名門スポルティング・リスボンが、デンマークのミッティラントを敵地で0-4と下し、ベスト16に進んでいる。一方、FW南野拓実が所属するモナコは、シャビ・アロンソ監督が手腕を発揮しているレバークーゼンにPK戦まで持ち込まれる展開で敗退。120分を戦ったが、南野はベンチ入りするも、出場はなかった。

 そのほかはイタリアのユベントス、ローマ、スペインのセビージャ、フランスのレンヌ、ドイツのウニオン・ベルリンが順当に勝ち抜いた。ただ、どのカードも、2試合を通して拮抗した戦いだった。ジョゼ・モウリーニョ監督が率いるローマはザルツブルクに第1戦で1-0と敗れていたスコアを、2-0でひっくり返し、ホルヘ・サンパオーリ監督のセビージャはPSVに、第1戦の3-0勝利から第2戦は2-0とされ、冷や汗をかいている。

 なかでも、一番注目されたカードはマンチェスター・ユナイテッド対FCバルセロナの一戦だろう。

 今シーズン開幕当初、両チームはともに問題を抱え、低空飛行が続いていた。しかし試合を重ねることで調子を上げ、今やそのネームバリューにふさわしい強さを取り戻しつつある。チャンピオンズリーグのベスト8やベスト4でもおかしくないカードと言える。

 両雄の対決は、結果から言えば、マンチェスター・ユナイテッドが逆転する形で2-1と勝利し、ベスト16に勝ち上がっている。

 目立った差はなかった。第1戦が2-2で、第2戦も一進一退。高いレベルの戦いは、ひとつのショーだった。

マンチェスター・ユナイテッドに敗れ、厳しい表情のバルセロナの選手たちマンチェスター・ユナイテッドに敗れ、厳しい表情のバルセロナの選手たちこの記事に関連する写真を見る「(敗退したので)誇らしく思うことはできないが、我々が戦い抜いたのは確かだ」

 バルセロナのシャビ・エルナンデス監督がそう振り返ったが、"敗者の美学"とは言わないまでも、そこに"敗者のみじめさ"はなかった。

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プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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