マンU戦でのバルサの敗因。後半、守りに回って出てしまった伝統的弱点 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuter/AFLO

【後半は後手に回ったバルサ】

 昨シーズン、崩壊しかけていたバルサを率いることになったシャビ監督は、ロナルド・アラウホ、ジュル・クンデ、アンドレアス・クリステンセンという3人のディフェンダーで守備強化に成功している。おかげで、GKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンのスーパーセーブも復活。ダブルボランチ採用を含め、守りが崩れない形ができた。フランク・ケシエのような屈強な選手の起用でプレー強度も上がった。

 守備が安定したことで攻撃も好転した。

 サイドは、左のアレックス・バルデ、右のラフィーニャが前向きでプレーし、脅威を与えられるようになった。背後をカバーしてもらうことを前提に、敵陣深くまで侵入。前半18分、ロベルト・レバンドフスキの先制点も、クロスが流れたボールをバルデが拾ったところ、倒されてのPKだった。

 では、なぜバルサは敗れたのか?

 前半のリズムを後半は保つことができず、短所が出たのは事実だ。

 後半2分、インテンシティでは互角以上に対抗していたケシエが、浮き球のコントロールを呆気なくミス。瞬間、無防備になったバックラインの前で、マンチェスター・ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデスに横パスを流される。それを受けたフレッジが遮るもののない騎兵のように入ってきて、シュートを打ち込まれた。

 赤い波のように押し寄せるマンチェスター・ユナイテッドに対し、バルサは後手に回った。守備は改善されたとはいえ、守りに回ってしまうと、"伝統的な"弱さが出た。マーカス・ラッシュフォード、アントニーのダイナミックな突破を持て余すようになった。そして後半28分、またもB・フェルナンデスに起点を作られ、3発連続でシュートを浴び、3本目をアントニーの左足で打ち込まれた。

 終盤、バルサは猛攻に転じ、持ち前のゴールに殺到する力を発揮した。しかし、わずかに及ばなかった。前半はゲームMVP候補だったバルデ、セルジ・ロベルト、フレンキー・デ・ヨングがペースダウン。ペドリ、ガビ、ウスマン・デンベレと、3人の主力を欠いていたハンデも出たか。

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