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イタリアにユーロ優勝をもたらした友情。最期にヴィアリがマンチーニに託した言葉とは (2ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by REX/AFLO

【イタリア代表で名コンビが復活】

 ヴィアリも現役引退後は監督となったが、こちらはあまり成功せず、スカイスポーツのコメンテーターやコンサルタントとして活躍した。その間もふたりは友人のままだったが、ヴィアリがロンドンに居を移したこともあり、かつてのように密な時間を過ごすことはなかった。

 そんなふたりの人生が再び交わるのは2019年のことだ。

 その前年の5月にイタリア代表監督になったマンチーニが、ユーロ(ヨーロッパ選手権)を戦うにあたり、ヴィアリにチームコーディネーターになってほしいと依頼したのだ。この時のイタリア代表のスタッフには、すでにかつてのサンプドリアの同僚が数多くいた。マンチーニがこうしたメンバーを集めるのには理由があった。

 この時のアッズーリに突出したスターはいなかった。そこでマンチーニが目指したのは、かつてのサンプドリアのような、家族的なチーム、友情という基盤の上に作られたチームだった。監督やスタッフたちがまず手本となり、互いを信頼しリスペクトする姿を見せることで、チームワークの大切さを選手に教えた。そんなチームにかつての"双子"の片割れのヴィアリを欠くことはできない。ヴィアリの経験、カリスマ性、そして何より彼とマンチーニの友情は、この代表に必要不可欠なものだった。

 彼らがいたからこそ、マンチーニは落ち着いて仕事ができ、時に前例のない思いきった方法もとることができた。例えばマンチーニは大会前にサルデーニャ島でプレキャンプを行なったが、これは練習というよりは限りなくバカンスに近かった。同じ仕事をするために集められた選手たちは、こうして本物の友人へとなっていった。

 ヴィアリはマンチーニの期待に120%応えた。マンチーニがチームのテクニカルな部分を率いるならば、ヴィアリがメンタリティーを率いた。ヴィアリは選手たちにさまざまなことを語った。その様子は、イタリアがヨーロッパ選手権で優勝するまでを描いたドキュメンタリー『アッズーリの夢』のなかでも見ることができる。

「偉大なチームには3つの特徴がある。1、共通の目標を、個々の目標より上に置く。2、他者を褒めることができる。3、責任感がある」

「もし相手にパンチしたくなったら、背中からやるのではなく腹にしろ」

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