菅原由勢が「オランダ最高の右SB」に名乗り。ワールドカップ落選の悔しさを糧に「自分がベスト16の壁を破る」

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 AZアルクマールの右サイドが、相手チームを震え上がらせている──。

 今年、AZはリーグ戦で6ゴールをあげている。そのすべてが右サイドの崩しから生まれたものなのだ。

 右サイドで驚異のホットラインを築くのは、サイドバック(SB)の菅原由勢とウインガーのイェンス・オドガールドだ。

22歳ながらオランダリーグ歴4年目の菅原由勢22歳ながらオランダリーグ歴4年目の菅原由勢この記事に関連する写真を見る 1月22日、AZはフォルトゥナを3-1で下したが、チームの1点目と2点目は菅原のパスを受けたオドガールドがクロスを蹴ってMFダニ・デ・ウィトのゴールとオウンゴールを誘発したもの。ここで見逃せないのは、ともに菅原がオドガールドの大外をしっかりフリーランニングで駆け抜けて、敵のマークを迷わせていたことだ。

 3点目はサイドライン際から菅原がワンバウンドのクロスを上げ、CFヴァンゲリス・パヴリディスがダイレクトシュートで蹴り込んだもの。スピードといい、高さといい、受け手にとって実に優しい菅原のクロスだった。これで菅原は2試合連続アシストだ。

 相手チームにとって厄介なのは、AZの右サイドが『菅原&オドガールド』のホットラインにMFタイアニ・ラインデルスが絡んでトリオを形成し、ショートパス、ドリブル、ポジションチェンジを駆使してローテーションすることだ。特に菅原とラインデルスのふたりは囮(おとり)の動きをいとわず走り、オドガールドにスペースと時間を供給している。

 一昨年、昨年と、AZは主に左サイドから崩していた。昨季はオーウェン・ワインダル(現アヤックス)、今季はミロシュ・ケルケズというレフティーがSBを務め、エース格ウインガーのイェスパー・カールソンとともに左サイドを攻略していた。また、ビルドアップも左に偏る傾向があった。

 一方、右サイドはなかなか陣容が固まらなかった。なにせ菅原がウインガーを務めることが何度もあったほどなのだ。しかし、今はオドガールドが前、菅原がうしろで構える形ができあがり、コンビでよし、MFを絡めたトリオもよし、という好循環が生まれた。

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