田中碧はボランチ→トップ下で意識が変わった。「ゴールやアシストといった数字は求めないといけない」

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO

 デュッセルドルフに所属する田中碧の2022-23シーズンは、海外1年目だった昨季に比べ、確実に出番が増加している。公式戦13試合を終了した時点でのフル出場が、昨季はたった1試合だったのに対し、今季はすでに7試合。当時と今とでは指揮官が異なることも影響しているのだろうが、ピッチ上で90分間を過ごす田中の姿は、見慣れた光景になりつつある。

攻撃的なタスクを任されるようになった田中碧攻撃的なタスクを任されるようになった田中碧この記事に関連する写真を見る 10月19日、デュッセルドルフはDFBポカール2回戦に臨んだ。今季リーグ戦第6節で対戦し、ホームで4−0と圧勝したレーゲンスブルクが相手だった。アウェー開催による長距離移動はあったものの、同じ2部のクラブということで、番狂わせが起こりやすいカップ戦特有の難しさはない。

 デュッセルドルフに幸運の女神が微笑んだのは、開始からわずか5分後のことだった。FWクリストファー・ペテルソンが遠目から放った強引なミドルシュートを、相手GKがまさかのキャッチミス。これで均衡を破ったデュッセルドルフは16分、さらに前半ロスタイム1分にも追加点を挙げ、3−0の逃げきり勝利で3回戦に駒を進めた。

 ミックスゾーンに現れた田中は開口一番、「(ブンデスリーガ2部で)2連敗してたから。こんなこと言うのもなんですけど、僕、人生で3連敗したことないんですよ。だから意地でも勝ちたかったんで、勝ってよかったです。リーグ戦じゃないですけど、これでまた1個、上のステージで戦える。トーナメントにはトーナメントのよさがあるし、それを経験できるのはいいことですね」と、安堵の表情を浮かべた。

 さかのぼること約1カ月、9月10日に行なわれたハンザ・ロストック戦後、田中は「先制点を取っている時は、ほぼ負けてないと思う。それは、相手が出てきたほうが、攻撃がうまくいくパターンが多いから。そういう意味では、先制点がすごく大きなカギなんじゃないかな」と話していた。

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