旗手怜央は鎌田大地、守田英正より意外性あり。CLでの日本代表5人を採点する (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REX/AFLO

チームで最も"見えている"守田

 そのあたりまで試合はほぼ互角だった。スポルティングのルーベン・フィリペ・マルケス・アモリム監督が、以降、エドワーズ、トリンコンといった実力者をスパッとベンチに下げ、新しい血を投入したのに対し、スパーズのアントニオ・コンテは、ひとりしか選手を代えることができなかった。その差が、最終盤に現れた格好だ。途中交代で入ったパウリーニョ、ゴメスが得点者になる姿にそれは象徴された。

 守田を採点するならば5.5(10点満点評価。以下同様)という感じになる。だが、限界を見せられたわけではまったくない。「もう少し偉そうにプレーしてもいいのでは」と助言したくなる。チームで最も"見えている"選手。とにかく視界が広く良好なのだ。この2試合を通して、守田からの前方へのフィードは、スポルティングに欠かせないプレーになることが証明されたと言える。

 そのスポルティングに開幕節、0-3のスコアで完敗したフランクフルトは、初戦でスパーズに0-2で完敗したマルセイと対戦した。前戦の終盤、3バックの真ん中の選手として交代出場した長谷部が、この試合では先発を飾ったことに、まず驚かされた。38歳の元日本代表選手。サッカー選手としての理想型を見る気がする。

 ヴェロドロームで行なわれたアウェー戦。鎌田も3-4-3の守備的MFとして先発出場した。4-2-3-1の3の左だった前戦のスポルティング戦から、ポジションを真ん中、やや後方に移した格好だ。守田に対して抱いた、もう少し偉そうにプレーしたほうがいいとの印象は、同じポジションでプレーした鎌田との比較に起因する。

 今季スポルティング入りした、チームでは新米の守田と、すでにチームの中心選手で、シーズン前にベンフィカへの移籍話さえあった鎌田。この差をそれぞれのプレーに見た気がする。欧州組としての風格という点で、鎌田は守田に勝っていた。とは言っても鎌田は26歳で27歳の守田より1年下だ。21歳で欧州に渡った鎌田と、大学を卒業し、Jリーグでしっかりプレーした後、25歳で欧州に渡った守田との差を見る気がする。

 ただし、両選手が現在所属するクラブのレベルは、前戦の3-0というスコアが示すとおり、守田のスポルティングが勝っている。鎌田は実力でスポルティングをほんの少し上回るベンフィカになぜ移籍しなかったのかとは、筆者の疑問だ。

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