「チャンピオンズリーグに出場するような選手になってほしい」。セルティックの旗手怜央が目標の舞台を前に思い出す恩師のひと言 (3ページ目)
ボールを扱う技術が圧倒的に足りなかった
静岡学園高校のサッカー部は1学年で50人以上。3学年合わせれば150人を優に超えていた。試合に出るには、そのなかの11人に選ばれなければならない。入学当初はその競争の激しさと厳しさに直面し、"怖ろしさ"すら感じたほどだった。
何を隠そう、当時の自分は全く走れなければ、うまくはなかったのだから......。ただし、当時はFWだったこともあり、シュートだけは認めてもらえていた。それもあって1年生だけで臨む試合には出場させてもらっていたが、ボールを扱う技術が圧倒的に足りず、いつも足元の技術を磨こうと、リフティングやドリブルの練習を繰り返していた。
また高校時代は1年に一度は、成長への転機になるような出来事があった。1年生の時は、(高円宮杯U-18)プレミアリーグの試合に出場させてもらった。夏場になり出場機会を与えられると、トップチームのレベルを知り、全国レベルを戦う選手たちの実力を肌で感じられたのは励みになった。
2年生の時は、高校サッカー部員の憧れでもある全国高校サッカー選手権大会に出場した。準々決勝で日大藤沢高校に1−2で敗れて、ベスト8止まりだったが、大会を通じて2得点を挙げることができ、選手として経験を積ませてもらった。
高校3年間で全国大会に出場したのはあとにも先にもこの選手権が唯一。この活躍により、高校選抜に選ばれた僕は、おそらく"天狗"になっていたのだろう。
だから、高校3年生になったある日、背番号10を剥奪されたのである。
(後編「自らの指針を決めた、静岡学園時代の出来事」>>)
旗手怜央
はたて・れお/1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2021年12月31日にセルティックFC移籍を発表。今年1月より、活躍の場をスコットランドに移して奮闘中。3月29日のカタールW杯アジア最終予選ベトナム戦で、A代表デビューも果たした。
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