2022.05.27

レアルにNOをつきつけた選手たち。エムバペなど、それぞれが断った理由とは

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 キリアン・エムバペが、ほぼ確実と言われていたレアル・マドリード移籍を蹴り、パリ・サンジェルマン(PSG)残留を決めた。エムバペは昨年8月からずっとレアルへの移籍を希望しており、その気持ちを隠すこともなかっただけに、この急展開はレアルにとっても驚きだった。彼らはエムバペを手中に収めたと思っていた。

 何がエムバペの気持ちを変えたのか。バックにカタールという国家がつくPSGの資金は豊富だ。レアルがどんな金額をオファーしてこようが、それよりも高い報酬を出すことができる。一説によると、PSGは常々エムバペに、「レアルの言い値の20%アップ」を約束していたという。

 しかし、彼が最終的に残留を決めたのは「金」ではない。「権力」だ。PSGはエムバペに、チームの運営方針に口を出せる力を与えたのだ。

 こうしてエムバペはPSGの王となる。監督もチームディレクターもチームメイトの人事も思うがままだ。これはレアルにはできない芸当であった。

パリ・サンジェルマン残留が決まったキリアン・エムパベ photo by AP/AFLOパリ・サンジェルマン残留が決まったキリアン・エムパベ photo by AP/AFLO この記事に関連する写真を見る  レアル・マドリードは世界に名だたる古豪だ。ヨーロッパ最高峰の大会、チャンピオンズリーグでの優勝回数も13と断トツを誇る。サポーターの数も、スポンサーもトップクラスだ。レアルでプレーすることは多くの選手の夢である。

 だが、エムバペ以外にも、そんなレアルに自分からNOを突きつけた選手は多い。

 エムバペのチームメイトで、かつてはバルセロナでもプレーしたネイマールにも、レアル行きを断った経歴がある。2005年、ネイマールがまだ13歳の頃、レアルのトライアルに招かれ、代理人とともにマドリードに飛んだ。当時のことをネイマールはポッドキャストでこう語っている。

「ヨーロッパに行くのも初めてだったし、とにかく嬉しくてしかたなかった」

 彼は同年代のレアルの選手たちと試合をした後、レアルの試合を見に行き、試合後には当時所属していたブラジル人選手たち、ロナウド、ロビーニョ、ロベルト・カルロスらと記念写真を撮っている。エル・ブランコのユニホーム姿のネイマール少年の写真が存在する。レアルは彼のプレーを気に入り、獲得に向けてすべての用意をしてくれていた。しかし1週間の滞在のうちにネイマールの気持ちが変わった。

「3、4日は楽しかったんだ。でも5日目には重いホームシックにかかってしまって、結局、移籍をするのはやめたんだ」

 ちなみに後にPSGでチームメイトになるパブロ・サラビアはこの時レアルの下部組織にいて、数日でブラジルに帰ってしまったネイマールのことを覚えていた。