レアルCL制覇の要因とは? ヴィニシウスの成長とクルトワの美技を誘発した戦いぶり
リバプールとレアル・マドリードの決勝対決は、チャンピオンズカップ時代の1980-81シーズンを含めると史上3度目になる。キーウのオリンピスキで行なわれた4年前の決勝は、レアル・マドリードが3-1で快勝。前半途中、リバプールのモハメド・サラーがケガでベンチに退く不運があったとはいえ、下馬評との関係で言うならば、順当な結果だった。
パルク・デ・プランスで行なわれた1980-81シーズン決勝(1-0でリバプールの勝利)は、どちらが下馬評で上回っていたか、さすがに知る由もないが、レアル・マドリードがその17年後に出場した決勝戦は記憶に鮮明だ。レアル・マドリードがヨハン・クライフ・アレーナでユベントスを倒し、通算7回目の欧州一に輝いたこの一戦は、敗者が下馬評で上回っていた。
レアル・マドリードは以降、その1997-98シーズンを含め、今シーズンまで8回決勝に進出。筆者は過去7戦の優勝シーンをすべて目撃しているが、ユベントス戦を除く6回は順当勝ちだった。決勝戦に強いとされるレアル・マドリードだが、下馬評との関係に目を凝らせば、番狂わせを食いにくい、受けて立つ横綱相撲を得意にするチームとなる。
横綱相撲が得意ではないバルセロナとの違いでもあるのだが、それはともかく、今回の決勝は違った。リバプールに下馬評で上回られていた。チャレンジャーの立場で臨むことになった。
決勝に限った話ではない。トーナメント1回戦の対パリ・サンジェルマン戦から、レアル・マドリードの立ち位置は同じだ。チェルシー戦(準々決勝)、マンチェスター・シティ戦(準決勝)とも、若干の身贔屓も手伝ったのだろう、英国のブックメーカー各社は過去3戦、予想をすべて外しているにもかかわらず、今回もレアル・マドリード不利と予想した。
優勝カップを掲げるレアル・マドリードの選手たち リバプールにはありがた迷惑な話だろう。この予想は選手に伝わる。自らの立ち位置を認識したうえで、選手はプレーすることになる。リバプールの選手は、試合が0-0で推移する状況に、そこから一刻も早く逃れたいと、いたたまれない気分でプレーしていたに違いない。
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