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レアルCL制覇の要因とは? ヴィニシウスの成長とクルトワの美技を誘発した戦いぶり (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

蘇ったベテラン選手たち

 リバプールは後半19分、24分、37分とサラーが際どい枠内シュートを放つが、クルトワが相次いでセーブ。勝因を挙げるなら、一番はこのベルギー代表GKの活躍になる。リバプールの攻撃のリズムとクルトワの反応はすっかり一体化していた。

 それを誘発したのは、レアル・マドリードのしぶとい戦いぶりだ。この決勝を含む4戦は、徳俵に足を掛けながらも、逆転する相撲を見ているかのようだった。二枚腰をここまで連続して発揮できるチームも珍しい。

 モドリッチ、トニ・クロース、カゼミーロ、ベンゼマと、中心選手の顔ぶれは、もう何年も変わっていない。新陳代謝の著しいチームではない。この顔ぶれが変わらない限り、浮上することはないと、何を隠そう、筆者はかねがね指摘していた。スペインリーグでは勝つことができても、欧州では難しいと記した記憶もある。しかし、彼らは少しも過去の選手になっていなかった。蘇った印象がある。今季、再び監督の座に就いたカルロ・アンチェロッティの指導力を、そこに見る気がする。

 決勝ゴールをマークしたヴィニシウスの成長も見逃せない。今シーズン、世界で最も伸びた選手と言われた時、文句なく一番に名前を挙げたくなる選手だ。守備者が周辺に4人くらいいても、ベンゼマとのコンビプレーで抜け出しそうな推進力に目を奪われる。同じスピード系でも、パリ・サンジェルマンのキリアン・エムバペより、サッカー選手らしさを感じさせる。ドリブル力そのものが高いのだ。

 クリスティアーノ・ロナウドがチームを去って4シーズン。今回のCL優勝も4シーズンぶりだ。大エースの退団と同時に下降線を辿ったチームがここで復活した理由は、ヴィニシウスの台頭にあり、となる。

 リバプールにはヴィニシウスがいなかった。サラーはクルトワの超美技がなければヒーローになっていただろうが、全盛期に比較すると物足りなく映ったことも事実。馬力、推進力、迫力でヴィニシウスに劣った。

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