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レアル・マドリードのモドリッチがますます輝く理由。風間八宏は「止める技術が抜群にうまい」と指摘

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

風間八宏のサッカー深堀りSTYLE

第2回:ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード/クロアチア)

独自のサッカー技術論を広め、サッカー界の選手、指導者に大きな影響を与えている、風間八宏氏の新連載。国内外のトップクラスのサッカー選手のテクニック、戦術を深く解説する。第2回は、ベテランの域に入ってもますます好パフォーマンスを続けている、レアル・マドリードのルカ・モドリッチのテクニックに迫る。

◆ ◆ ◆

ほとんどボールにタッチしていない

 現在世界で最もうまいMFは誰かと聞かれれば、おそらく多くの人はクロアチアの小さな天才プレーヤーの名前をあげるのではないだろうか。

 ルカ・モドリッチ、36歳。すでにプロキャリア19年を数えるベテランは、現在も所属のレアル・マドリードとクロアチア代表で極上のプレーを披露する。眩いばかりのその輝きは、バロンドールを受賞した2018年の頃をしのぐレベルだ。

ベテランになってもますます光るプレーをするモドリッチベテランになってもますます光るプレーをするモドリッチこの記事に関連する写真を見る 観る者を魅了するモドリッチのプレーのなかには、はたしてどのようなテクニックが潜んでいるのか。風間八宏氏が最初に指摘してくれたのは、モドリッチがボールを保持した時に見せる特徴的なプレーだった。

「モドリッチの場合、ボールを保持している時でも、実はほとんどボールにタッチしていません。ボールを静止させた状態でステップを踏み変えて、自分の身体だけを動かしている。モドリッチが簡単にボールを奪われない理由は、そこにあります」

 たしかにモドリッチは、ほとんどボールを失わない。たとえ相手がボールを奪いにかかってきても、いとも簡単に相手を外し、素早く次のプレーに移行する。では、なぜモドリッチはボールに触れなくても、相手にボールを奪われないのか。

「まず、モドリッチはボールを止める技術が抜群にうまい。ボールを止めると言っても、単純にボールを止めることを言っているのではなく、自分にとってベストな場所にボールを静止させられるという意味です。

 ベストな場所とは、自分がいつでも何でもできる場所。そこにピタッとボールを置けるから、自分の好きなタイミングでパスもできれば、ドリブルを始めることもできる。だから、相手は簡単にはモドリッチの懐に飛び込めません。それが、必要以上にボールに触れなくても、モドリッチがボールを奪われない最大の理由です。

 多くの人は、"ボールを止める"という意味を、ただ足元に止めればいいだけだと思っていますが、モドリッチのように、一度で自分にとってベストな場所に‟ボールを静止させる"というのが、本来の意味です」

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◆レアル・マドリードほか、2021-22シーズン 欧州トップ10クラブフォーメーション

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