検索

レアル・マドリードのモドリッチがますます輝く理由。風間八宏は「止める技術が抜群にうまい」と指摘 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

技術の正確性がドリブルの速さにつながる

 さらにもうひとつ、モドリッチのドリブル、つまり"ボールを運ぶ"プレーに見られるテクニックについても、ポイントを解説してくれた。

「まず大前提として知ってほしいのは、ドリブルの速さを決めるのは、単純に走る速さではなく、ドリブルにおける技術の正確性が、そのまま速さにつながるということ。つねに自分の体の正面で、ボールを縦回転で転がすのがいちばん速くなります。

 モドリッチのドリブルを見ると、どの方向にボールを運ぶ時も、しっかりそれができている。だから、走るスピードがそれほど速くなくても、ドリブルそのものは速い。しかもボールを置く場所が安定していて、つねに相手のいない場所に向かってドリブルしていくので、相手はなかなか捕まえることができない。メッシもそうですが、このレベルの選手はみんなそれができていますよね。

 いくら走るのが速くても、ボールの置く場所がずれてしまうと、自分の体の正面に対して縦回転ではなくなってしまうので、ドリブル自体が失速してしまう。しかも、ボールを置く場所が不安定だと、相手が自分の懐に飛び込む隙を与えてしまいます。もちろん、ドリブルする時にボールを置くベストな場所やステップの幅は、選手によって異なりますが、ここで説明した基本部分はどの選手にも共通することです」

 ボールを止める、蹴る、運ぶ。これはサッカーの基本とされるが、モドリッチは、そのすべが極めてハイクオリティだ。今回、風間氏が指摘してくれたモドリッチの特徴に着目しながらそのプレーを見てみると、また違った視点でサッカーというスポーツの奥深さを感じとることができるのではないだろうか。

ルカ・モドリッチ
Luka Modric/1985年9月9日生まれ。クロアチア・サダル出身。地元クラブのユースから国内強豪のディナモ・ザグレブに移籍し、18歳でプロ契約。2008年からトッテナム(イングランド)、2012年からはレアル・マドリード(スペイン)でプレー。数々のタイトル獲得に貢献してきた。クロアチア代表では2018年ロシアW杯準優勝。同年にバロンドールを受賞している。

この記事に関連する写真を見る

風間八宏
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

◆レアル・マドリードほか、2021-22シーズン 欧州トップ10クラブフォーメーション

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る