大注目のCL決勝はどんな戦いになるのか。リバプールとレアル・マドリードの強みと弱みを識者3人が解説 (2ページ目)
コンディションはレアル・マドリード有利
倉敷 過去の対戦成績は、レアル・マドリードの4勝1分け3敗、10ゴール8失点と、非常に拮抗していますが、最近はレアル・マドリードが負け知らず。直近の対戦となる昨シーズンのクォーターファイナルでもレアル・マドリードが勝ち上がっています。極めつけは、2017-18シーズンのファイナルです。モハメド・サラーに対するセルヒオ・ラモスのプレーを遺恨と捉え、リベンジをと望むファンもいますね。
中山 たしかに、2017-18シーズンのファイナルはよく覚えています。前半途中でセルヒオ・ラモスのファウルを受けたサラーが肩を痛めてしまい、途中交代を強いられて明らかに試合の流れが変わりました。それと、リバプールのGKロリス・カリウスのミスもありましたよね。ただ、あのシーズンと現在のリバプールは完成度という点でまったく違っていますし、今回はむしろ総合力でもレアル・マドリードを上回っていると思います。
とはいえ、今季のCLにおけるレアル・マドリードの勝ち上がり方は奇跡の連続でしたから、そこに勢いを感じます。決勝戦前の試合日程の面ではレアル・マドリードが有利な立場にある。それらの要素を考えても、今回は2017-18のファイナルとはまったく異なる試合になるのではないでしょうか。
小澤 個人的には、過去の対戦成績は今回のファイナルを占ううえではあまり関係ないと見ています。両チームにはそれだけ経験値のある選手が揃っていますし、そもそもレアル・マドリードにはもうセルヒオ・ラモスもいませんからね。
それよりも、サブメンバーも含めて誰を取り上げても興味深い選手がたくさんいて、両チームとも選手層が厚い。誰かひとりに焦点が当たりすぎないという意味では、チーム対チームの視点で見ても楽しみな対決になったと思います。
倉敷 決勝戦を占う要素はいろいろありますが、コンディション面で見た場合はいかがですか?
中山 レアル・マドリードはセンターバック(CB)のダビド・アラバがリハビリ中ですが、決勝戦には間に合うと見られているので、主力メンバーは万全の状態で試合に臨めます。しかも、国内リーグ戦のスケジュールが最後までハードだったリバプールと比べ余裕があったので、チーム全体としてのコンディションも作りやすいでしょうし、その部分は明らかにレアル・マドリードのほうが有利だと思います。
小澤 僕もそう思います。マドリードは第34節のエスパニョール戦(4月30日)で国内リーグ優勝を決めていますし、残り4節は週1回ペースの試合で主力を休ませながら、徐々に決勝戦に向けてコンディションを上げていくことができています。疲労気味のカリム・ベンゼマ、ヴィニシウスも休めたし、アラバもケガから戻ってくるでしょう。
それに加えて、アンチェロッティ監督がシーズン終盤戦になってから、エドゥアルド・カマビンガ、フェデリコ・バルベルデ、ロドリゴといった若手をうまく起用し、彼らの台頭によって選手層も厚くなっているので、決勝前のチーム状態はレアル・マドリード優位だと思います。
もちろん、リバプールもコンディション調整はしていますけど、4、5月は試合が多すぎるので、いくら選手層が厚いといってもさすがに厳しい。しかも、それぞれの国内リーグの最終節も、レアル・マドリードはCL決勝に向けて金曜日開催に変更してもらいましたが、リバプールはその2日後の日曜日の一斉開催でした。リバプールにとっては、明らかにレアル・マドリードよりも不利な条件でCL決勝に臨むことになりますね。
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