大注目のCL決勝はどんな戦いになるのか。リバプールとレアル・マドリードの強みと弱みを識者3人が解説 (4ページ目)

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ヘヴィメタルなサッカーのリバプール

倉敷 では、両チームのストロングポイントとウィークポイントを整理します。中山さんは両チームをどのように分析していますか?

中山 リバプールの最大のストロングポイントは、それぞれの選手がハードワークできること。ハイラインハイプレスを維持しながら次々と相手に圧力をかけていく、いわゆるヘヴィメタルのようなハードなサッカーですね。話すのは簡単ですが、なかなかできないスタイルだと思います。

 そのうえで、選手全員の能力が高く、個の力を引き出すサッカーができているのも強みと言っていいでしょう。たとえばCBフィルジル・ファン・ダイクから右ウイングのサラーへのロングパス、両サイドバック同士のホットライン、あるいはルイス・ディアスとサディオ・マネ、マネとサラーなど、選手同士のコンビネーションで一瞬で局面を変えることもできるうえ、個人でも打開できる。相手にとって、対応し難いチームだと思います。

 ウィークポイントは、プレスを効かせるためにコンパクトさを保とうとDFラインを高く設定するので、どうしても相手に背後を狙われやすくなること。とくに攻撃時の両サイドバックは揃って高い位置をとるので、そこからカウンターを受けるリスクがあって、明らかにそこがレアル・マドリードの狙い目になると思います。

 レアル・マドリードの強みは、チームとしての経験値に裏づけられたゲーム運びに加えて、決勝までの準備の仕方、メンタルコントロール、さらに言えばチームを率いるアンチェロッティ監督の経験値も間違いなくストロングポイントになると思います。なにせ、CLでは過去最多となる3回の優勝を経験している監督ですからね。

 たしかに戦術的には、ハイプレスや5レーンといったトレンドとは異なる独自のスタイルですが、そこには抱えている選手のよさを最大限に引き出すという背景があります。とくにカゼミーロ、モドリッチ、クロースの中盤は、CL3連覇すべてのファイナルで先発している鉄板の3人で、彼らしか為し得ないような阿吽の呼吸から生み出すプレーがあります。今季はヴィニシウスが覚醒し、ベンゼマもキャリアハイの成績を残すほど絶好調です。

 チーム戦術、インテンシティ、スタミナ、スピードといった部分は今回の決勝戦においてはウィークポイントになるかもしれませんが、自分たちの強みと弱みを把握したうえで、最善の戦い方をできるのが現在のレアル・マドリードの強みだと思います。

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