堂安律のパフォーマンスが極上すぎる。日本人初のKNVBカップ優勝にオランダメディアも「水を得た魚のよう」と絶賛 (4ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

リーグ100試合出場も達成

---- 今季前半戦の堂安選手を見ていると、水を得た魚のようにPSVで過ごしています。

「クラブでもチームでも、とても快適に過ごせています。朝起きると『トレーニングに行きたいなあ』って思ってエネルギーを感じるんです。チームメイトやスタッフに会うのが楽しくて仕方がありません」

 シュミット監督は以前、オランダ人記者たちに「PSVに戻ってくるよう、律を説得するのには骨が折れました」と語っていたことがある。レギュラーの保証はできないが、君にはこういう長所があるからチームに絶対に必要な存在になるのは間違いない----。誠心誠意を込めてそう説けば、堂安は意気に感じて役割をまっとうするタイプなのかもしれない。

 2月21日のヘーレンフェーン戦で、堂安は後半からマドゥエケに代わってピッチに入った。45分間のプレーにとどまったため、堂安は『デ・テレフラーフ』紙の週間ベスト11の選外になったが、選者のアンドレ・フークストラ氏は「PSVの堂安律についても言及したい」と寸評に書き足した。

「彼は途中出場の選手として非常に栄誉に値する。彼のプレーはすべてコントロールされていて、フットボールの息吹がする」

 もちろん、堂安に批判の火の粉が飛ぶこともある。しかし、それら賞賛も批判も、堂安にとっては外野の声にすぎないのだろう。大事なことはシュミット監督の信頼とPSVというクラブ、チームとの絆だ。

 アヤックス戦で堂安はしっかり自分の役割を整理し、限られた時間のなかでチームプレーと自身の表現を両立させた。そして、日本人選手として初めてKNVBカップを制覇した。

 今季残すのはリーグ戦5試合のみ。オランダリーグ首位アヤックスと2位PSVの差は勝ち点4だ。KNVBカップ決勝戦後、シュミット監督やマルコ・ファン・ヒンケル主将は口々に「リーグ戦で5連勝してアヤックスにプレッシャーをかける」と逆転優勝に向けて抱負を語っていた。

 気づけば、堂安はオランダリーグ100試合出場を果たしたばかり(フローニンゲン=61試合、PSV=39試合)。KNVBカップの勝者、リーグ100試合出場の勲章に加え、オランダリーグ王者も射止めてほしい。

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