エムバペが光ればメッシが霞む。PSG、レアル戦勝利も、その先に不安要素 (2ページ目)
【ネイマールも動きは重い】
ウイングと真ん中、ドリブルしやすいのは相手のプレッシャーを片側からしか浴びないウイングだ。メッシのほうがエムバペに比べ、自慢のドリブルを発揮しにくい環境に置かれていたことは確かである。しかし、つい1年程前までは、そうしたなかに置かれても、再三再四、敢然と相手に脅威を与えるドリブルを仕掛けていったものだ。
その回数がグッと減った。その結果、推進力が鈍化した。レアル・マドリードを楽にした大きな原因だった。
レアル・マドリードは時間の経過とともにアグレッシブになっていった。前半41%対59%だったボール支配率の関係は、フルタイムでは43%対57%まで改善された。後半に限れば45%対55%ぐらいだったと思われる。アウェー戦であることを踏まえれば、まずまずの数字まで回復したことになる。
だが、やはり欧州一の名門という看板を持ち出せば、物足りない数字に映る。当代一の金満クラブとはいえ、CLをまだ一度も制していないPSGに対して、支配率で簡単に屈する姿は哀れだ。
トニ・クロース、ルカ・モドリッチ、カゼミーロ、カリム・ベンゼマと、主要ポジションには、何年も前から同じ名前が並ぶ。集団としての経験値は高いが、勢いに欠ける。スペインリーグを制すことはできてもCLは難しい。もしPSGに競り勝つことはできても、決勝戦までは難しいと言わざるを得ない。
決勝ゴールが生まれたのは、後半のアディショナルタイム。48分台の出来事だった。左サイドからエムバペが定石通り、DFとDFの間を割って入ると、GKクルトワとの1対1の局面が待ち受けていた。メッシのPKを止めたクルトワが、その余勢を駆ってエムバペのシュートをも止めるのかと半分期待した瞬間、ボールはその開いた股の間を通過していった。
メッシとエムバペ。両者の明暗はクルトワによって分かれた格好だ。お互いはチームメイトではあるが、どちらが驚異的なアタッカーか、比較される間柄でもある。エムバペが光れば光るほど、メッシは霞んで見えた。衰えが炙り出されることになった。
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