CL決勝の注目選手。チェルシーのカギを握るMFマウントは香川真司似 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 キックも、精度が高いだけでなく、こちらも素早い。足を大きく振るのではなく、ヒザから下をコンパクトに使う。ヒザ下を使ったスイングなので、蹴り足のほうに加重するのが特徴だ。立ち足に体重を乗せて蹴り足を大きく使うのではなく、瞬間的に蹴り足のほうへ体重移動するマウントのフォームは、右側に体が傾いていることが多い。

 素早く蹴りだせるキックは、シュートの時はもちろん、パスやセットプレーでも同じなので、これが自然というか癖なのだろう。子どものころのFKを決めるシーンを見たが、蹴り方は今と同じだった。

<飛び級で揉まれて成長>

 1999年1月10日、イングランドのポーツマス生まれ。父親はノンリーグのクラブでプレーイングマネジャーだった。そのせいか息子の才能には早くから気づいたようで、地元のクラブチームのテストを4歳で受けさせている。合格したマウントはU-8のチームでプレーするようになった。

 6歳の時にチェルシーのアカデミーに移る。ここでも飛び級していて、U-15の年齢でU-18のチームでプレーし、U-18の時はU-21との掛け持ちだった。チェルシーのトップと契約したのは18歳、最初のシーズンはオランダのフィテッセへ貸し出されている。

 実は父親は、チェルシー入りには反対していたという。過去30年間でジョン・テリー以外にユースからトップに昇格した例がなかったからだ。チェルシーには外国籍選手をはじめスター選手がプレーしていて、ユースから昇格させても出場機会がない。チェルシーだけでなく、ビッグクラブの宿命と言える。

◆ペップがシティの「新マジシャン」フォーデンに固執する理由>>

 すでに若手選手は証券のような扱いになっていた。育てた若手は他のクラブへ貸し出し、そこで活躍して完全移籍が成立すれば、その移籍金をかき集めて実績のあるスター獲得資金にあてる。元の所属クラブに戻れるケースは少ない。

 マンチェスター・シティのフィル・フォーデンのように、手元に置きつづける例は珍しく、貸し出し先(ボルシア・ドルトムント)に移籍して活躍しているジェイドン・サンチョのパターンが最上の成功例だった。

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