メッシと同種の能力。ペップがシティの「新マジシャン」に固執する理由
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サッカースターの技術・戦術解剖
第45回 フィル・フォーデン
<メッシと同種の能力>
プレミアリーグ第23節、マンチェスター・シティのフィル・フォーデンは、リバプール戦のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。1ゴール、1アシスト。アウェーでの4-1快勝の立役者である。
マンチェスター・シティで、才能をいかんなく発揮しているフィル・フォーデン 1-1で迎えた73分、ふたりのDFの間をすり抜けて右ポスト近くまで食い込み、左足のアウトでラストパスをイルカイ・ギュンドアン(ドイツ)へ届けた。83分にはペナルティーエリア右角あたりからドリブルで仕掛け、左足アウトでのカットインから強烈なシュートを叩き込んでいる。
このアシストとゴールには、フォーデンの才能がよく現れていた。
カットインからのゴールは、左足アウトのタッチから3歩でシュートしている。左足のタッチで1歩、右足の踏み込みで2歩、そして3歩目でシュート。かわしてからワンステップでのシュートだった。スピードに乗った切り返しからワンステップで蹴っているので、DFのシュートブロックは間に合わない。
アシストのほうも、トップスピードでゴールライン近くまで行って、左足アウトで通している。シュートもパスも、常に足下からボールが離れていない。それをトップスピードで行なっているところがすばらしく、リオネル・メッシ(アルゼンチン/バルセロナ)と同種の能力と言える。
まずファーストタッチが格別で、ボールがピタリと止まる。これができるので相手選手の「間」でパスを受けられるのだが、ボールが止まるだけならあまり意味はない。フォーデンはボールがほとんど動かないぐらい静止させられるだけでなく、次のプレーに移行できる場所に止めている。すぐに蹴れる、運べる場所に止めているので、ボールを止められることに意義があるわけだ。
トップスピードのドリブルでもフォーデンとボールの関係性は変わらず、すぐに次のプレーができる場所にボールがある。リバプール戦のゴールとアシストは、フォーデンの利き足(左足)からボールが離れていないから生まれたと言える。
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