ザックジャパン時代から様変わり。日本人の欧州移籍トレンドを読み解く (2ページ目)
昨夏にヨーロッパに旅立った遠藤渓太(横浜F・マリノス→ウニオン・ベルリン/ドイツ)や藤本寛也(東京ヴェルディ→ジル・ヴィセンテ/ポルトガル)らも、この類に入る。獲得側からすれば"育てて売る"ことを前提とした、青田買い補強である。
そして、最近の日本人選手のヨーロッパ移籍におけるトレンドになっているのが、前者が占める割合よりも、後者の割合が急増しているという点だ。
たとえば、コロナ禍前の2019年は、とくにその傾向が顕著だった。
主なところでは、FC東京からレアル・マドリード(スペイン)に移籍し、初年度はマジョルカでプレーした久保建英を筆頭に、中山雄太(柏→ズヴォレ/オランダ※冬の移籍)、安部裕葵(鹿島アントラーズ→バルセロナB/スペイン)、安西幸輝(鹿島→ポルティモネンセ/ポルトガル)、三好康児(横浜FM→アントワープ/ベルギー)、菅原由勢(名古屋グランパス→AZ/オランダ)、食野亮太郎(ガンバ大阪→マンチェスター・シティ経由→ハーツ/スコットランド)、中村敬斗(ガンバ大阪→トゥウェンテ/オランダ)、北川航也(清水エスパルス→ラピード・ウィーン)などなど。
バルセロナのカンテラ(下部組織)で育ち、すでにFC東京時代にA代表デビューを飾っていた久保のケースは例外として、それ以外の選手の多くは、いずれもアンダーカテゴリーの代表でプレーし、J1でまだ十分な経験を積んでいない段階でヨーロッパに旅立った"金の卵"たちである。
そういう意味では、いわゆるヨーロッパの5大リーグではなく、セカンドグループとされるリーグの中堅以下のクラブが主な移籍先となるのも、当然と言える。とくに最近は、「ヨーロッパでプレーする選手が増えた割には、トップレベルで活躍する選手が少ない」と言われることが多いが、現在の移籍傾向からすれば何ら不思議なことではない。
生き馬の目を抜くヨーロッパサッカーのピラミッドでステップアップを果たせる金の卵は、ほんのひと握り。これは日本人選手に限った話ではなく、世界各国からヨーロッパに挑戦する若手選手に共通した話なのである。
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