欧州CLラウンド16展望。ベスト8に勝ち進むのはどこか?

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蹴球最前線──ワールドフットボール観戦術── vol.80

 サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材しつづける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎――。この企画では、経験豊富な達人3人が語り合います。今回も2月から始まる欧州チャンピオンズリーグ(CL)のラウンド16を展望します。

――前回はラウンド16の4カードについてお三方にお話いただきましたが、今回も引きつづき残りの4カードを日程順にお願いしたいと思います。

CLのラウンド16。レアル・マドリードは難敵アタランタと対戦するCLのラウンド16。レアル・マドリードは難敵アタランタと対戦する<守備が計算できるアトレティコ。チェルシーは若手の活躍に期待>

倉敷 では、2月23日に行なわれる2カードを見ていきましょう。まずはアトレティコ・マドリード(スペイン)対チェルシー(イングランド)というビッグマッチです。小澤さんからお願いします。

小澤 五分五分と見ています。まずアトレティコは、今シーズンは攻撃的なスタイルで戦うという明確な特徴が出ていて、守備の強度やプレッシングのところは少し落ちた印象はありますが、よい意味でディエゴ・シメオネ監督(アルゼンチン)らしくないチームに変化しています。そんななかで、3バックをベースのシステムにしながら戦い方に変化をつけています。守備時は5枚で重心を低くしつつ、速くて馬車馬のように走れるマルコス・ジョレンテ(スペイン)を生かしながら、ロングカウンターでゴールを襲うかたちもできるようになってきました。

 メンバー的にも、GKにヤン・オブラク(スロベニア)がいて、センターバック(CB)もフェリペ(ブラジル)、ステファン・サビッチ(モンテネグロ)、そしてホセ・ヒメネス(ウルグアイ)も負傷から戻るでしょうし、今季はマリオ・エルモソ(スペイン)が3バックの採用によって抜群によくなってきています。基本的に守備は計算できますね。ベスト8に進めるかどうかは攻撃陣がカギを握っていますが、今季は決定力があります。ただCLのようにレベルの高い相手、強度の高い試合になった時、ジョアン・フェリックス(ポルトガル)やルイス・スアレス(ウルグアイ)といった前線の駒が、低い重心で守備をする時間が長くなる分、あまりチャンスは多くなく、少し不満をためているように見えます。ただ、最終的にはシメオネのマネジメント力によって、大一番に合わせてチームをひとつにまとめるのではないかと思います。

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