2021.01.21

久保建英の次の「任務」は何か。ヘタフェ監督が賞賛も要求は高い

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「タケ(久保建英)は、エリア近くでのプレーが少なかった。そこでハーフタイムに、『後半はもっと中に入ってプレーを』と指示した。ディフェンス面では犠牲を惜しまずに、(右サイドバックの)ダミアン(・スアレス)をサポートしていたね。ファンタスティックな調和を見せていた」

 久保建英がヘタフェで初先発したウエスカ戦後、ホセ・ボルダラス監督のコメントである。要求は高く、手放しで激賞しているわけではない。しかし、「ヘタフェ久保」としての初先発が上々だった感触が滲み出ていた――。

ウエスカ戦に先発、79分までプレーした久保建英(ヘタフェ) 1月20日、本拠地でのウエスカ戦。久保は4-2-3-1の右アタッカーとして、ビジャレアルからの移籍後、初先発を果たしている。序盤から、バルセロナの下部組織育ちで左利きの技巧的選手、トップ下に入ったカルレス・アレニャとパス交換をしようとする気配が濃厚だった。うまくいかなくても、お互いリズムが合うのだろう。

 何気ないが、このシステム、選手起用はボルダラス・ヘタフェにとっての「新しい様式」を象徴していた。

 それまで、ヘタフェは4-4-2を基調に戦ってきた。強度の高いプレッシングと強固なブロックで相手に対抗し、長いボールを2トップに放り込む。能動的にボールを持って相手の裏を取る、という試みは二の次で、リアクション戦術が基本だった。

 久保とアレニャの補強によって、プレー様式が変化したのだ。

 久保は前半から、ボールの受け方だけで相手の逆をとって、マークを外していた。その技量の高さを存分に見せている。38分、自陣からのパスをあえて大きなトラップで入れ替わり、次のディフェンスは緩急の変化だけでかわし、クロスを入れた。そのボールは相手にブロックされたが、随所で食いつかせてはファウルを引き出し、もしくは抜け出しに成功していた。

 キックのうまさも群を抜いているだけに、直接ゴールを狙うセットプレーは任されていた。前半だけで2本、際どいFKがあった。ひとつはGKの横飛びではじかれ、もうひとつは正面だったが、ゴールの可能性が伝わってきた。