今、世界で最も欲しがられる選手。アラバはどこでプレーしても最上級だ
無料会員限定記事
サッカースターの技術・戦術解剖
第42回 ダビド・アラバ
<食らいまくるカウンターを防ぐ>
ダビド・アラバ(オーストリア)のレアル・マドリード(スペイン)への移籍が大詰めを迎えているようだ。レアルのオファーは破格だが、移籍するかどうかはこの原稿を書いている時点ではまだ決まっていない。
バイエルンのダビド・アラバ。レアル行きの話が騒がしくなっている アラバが去るとしたら、バイエルン(ドイツ)には相当の痛手だろう。今、最も失ってはいけない選手である。
昨季のチャンピオンズリーグで優勝、圧倒的な強さを示したバイエルンだが、今季のブンデスリーガではかなりはっきりした弱点を露呈している。
カウンターに弱い。というより、いくつかの要因が重なって明らかに対戦相手からそこを狙い撃ちされている。それでもバイエルンが依然として強さをキープできているのは、アラバがいるからだ。
まず今季は、チアゴ・アルカンタラ(スペイン)がリバプール(イングランド)へ移籍した。チアゴがいなくなったことで、バイエルンはボールのグリップを失った。チアゴの役割を担っているヨシュア・キミッヒ(ドイツ)もすばらしい選手だが、パスワークの軸としてはチアゴに及ばない。
チアゴがいたので、後方のパスワークでボールを失わず、そこから前方へのフィードで違いをつくることができた。チアゴを失ったバイエルンはボール保持の質が少し落ち、ビルドアップ段階でボールを奪われるケースが増えている。
さらに、ボール保持と前方フィードが少し不安定になったことで、持ち前のハイプレスが空転しはじめた。好調時のバイエルンは包み込むようなハイプレスで相手に組み立てを許さない。ひとりがボールホルダーに素早く寄せてパスコースを限定し、残ったボールの出口を2、3人で封鎖にかかる。
3、4人が一気に動く同時性、連動性があるのでこの封鎖ができるのだが、封鎖しきれないケースが出てきている。コンディションの問題もあるかもしれないが、わずかではあるがボール支配力の質の低下が影響している。ボールの失い方が悪くなっているし、その頻度も増えている。
1 / 3